長野電鉄に譲渡された小田急電鉄の特急ロマンスカー10000形
小田急電鉄(東京都)の特急ロマンスカーの2車種で、車両の連結部分の金属に複数の傷が見つかり、同社は計5編成の運転を休止した。長野電鉄(長野市)が使用する同型車両の2編成も検査のため運転を中止した。両社は別の車両で代替し、運行ダイヤへの影響はないという。国土交通省は小田急に原因調査を指示した。
国交省や両社によると、傷が見つかったのは小田急の7000形LSEの3編成と、10000形HiSEの2編成。いずれも、車両の連結部分の下部に台車(連接台車)が設置されている。
カーブなどで台車と車両の連結部分の金属柱がこすれる構造上の問題があった可能性や、20〜30年前に運行を始めたので金属の老朽化が生じた可能性などがあり、原因を調べている。傷の長さは最大で7.5センチで、深さは正確に計測できていない。同省は、「傷が深ければ走行に危険が生じる恐れもある」と指摘する。
小田急によると、傷が見つかった部分は、日常的な点検の対象でなく、今後、点検個所の見直しも検討する。復旧には少なくとも1カ月以上かかる見通しだ。長野電鉄は2005年8月、小田急から10000形2編成を譲渡され、特急「ゆけむり」として運転している。
この2車種は運転席が2階にあり、前方の見晴らしがよい先頭車両の展望席や赤い塗装が人気。(佐々木学)