1月21日(木曜日)
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社説
1月21日付  日航経営破綻  意識改革が再生への鍵だ  
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 日本航空が会社更生法の適用を東京地裁に申請し、更生手続きの開始決定を受けた。負債総額はグループ3社で2兆3221億円。事業会社としては過去最大の経営破綻(はたん)だ。

 これを受け、官民出資の企業再生支援機構が日航支援を正式に決めた。今後は裁判所の管理下で高い透明性を確保しながら改革が進められる。日航は、大胆なリストラ策などを通じて3年間で再建を図るというが、前途は多難だろう。

 法的整理に踏み切ったことで一部融資が焦げ付き、国民負担は既に約440億円に達した。支援機構は、今後も日本政策投資銀行とともに出資や融資を合わせて9千億円規模の公的資金を投入する見通しだ。

 巨額の公的資金を受けながらの再出発である。日航は破綻の背景にある問題点を先送りすることなく、着実に再建を果たさなければならない。「失敗は絶対に許されない」との覚悟で臨んでもらいたい。

 破綻の最大の原因は、高コスト体質を改善できなかったことだ。1987年に完全民営化したにもかかわらず、国頼みの放漫経営から脱却できなかった。甘い需要予測で地方空港を乱立させ、日航に運航上、過剰な負担を強いてきた国のずさんな航空行政にも重い責任がある。

 政府は日航再建を全面支援する声明を出した。運航継続に支障を来さないよう、燃料代などの一般債権や顧客のマイレージなども保護する見通しだ。株主は日航株の100%減資で多額の損失を避けられないだろうが、冷静な対応を求めたい。

 日航の法的整理には、国内の巨大企業で初めて「事前調整型」の手法が取られた。主な債権者と更生法申請後の出資や融資について決めておくことで、法的整理に伴う信用不安や客離れを回避する狙いがある。

 ただ、日航の取引先は世界中にある。短い準備期間で決めた法的整理だけに、想定外の事態が起こることも十分考えられる。日航は混乱回避に万全を期さなければならない。

 再生計画では、子会社を大幅に減らし、グループ人員も約3割の1万5700人削減する。燃費効率の悪いジャンボ機はゼロにし、国内外の不採算路線も廃止する。事業規模の大胆な縮小で収益の改善を図る戦略である。

 日航再生の鍵は「親方日の丸」意識が染み付いた社員の意識改革を進め、全社一丸の体制を築けるかどうかにある。人員削減では労働組合との交渉で曲折も予想される。会長兼最高経営責任者(CEO)に就任した京セラの稲盛和夫名誉会長ら新経営陣の手腕に期待したい。

 そして何より「安全運航」を第一に考えた再建でなければ、国民の理解は得られないだろう。

 真の再建を果たすには将来を見据えた増収策がぜひとも必要だ。航空業界は極めて厳しい経営環境にあるが、成長著しいアジアの新興国への路線拡充を図るなど、新たなビジネスモデルを構築してほしい。

 一方、不採算路線の廃止方針に地方は懸念を強めている。再建に抜本改革が必要なのは当然である。しかし、国民の「空の足」の確保も欠かせない。徳島空港も含めて、可能な限りこれまでの路線を維持するよう求めたい。

徳島新聞社