今年3月末で期限切れとなる過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)を6年間延長し、支援対象を拡大することなどで与野党が合意した。改正案を超党派の議員立法で今国会に提出、4月1日の施行を目指す。
過疎法は、過疎地域の市町村を過疎債を通じて財政支援するものである。1970年に10年間の時限付き議員立法として制定され、これまで3回更新されてきた。延長に関係市町村の期待は大きかろう。
改正案の特色は、事実上インフラ整備に限られている財政支援の対象を、認定こども園や図書館などの整備、さらには医師や生活交通の確保といったソフト事業にも広げる点にある。過疎自治体の指定要件も拡大する。岡山県矢掛町など58市町村が新たに指定される予定で、4月1日時点の過疎市町村数は776となる見通しだ。
過疎法に基づく支援には、過去40年間で総額90兆円近い資金がつぎ込まれたとされる。にもかかわらず、住民の過半数を65歳以上の高齢者が占める「限界集落」が増えるなど状況は一段と厳しくなっている。
大きな原因はインフラ整備などハード事業中心の支援対象だったことだ。道路などの整備は進んだが、生活の足であるバス路線の廃止で自動車を運転できない高齢者たちは不便を強いられている。住民の生活を支えるソフト面に対象を広げることは当然と言えよう。
問題は、どう有効に生かしていけるかだ。地域のニーズに沿った使いやすい支援策に改めていくと同時に、足元からの盛り上がりが活性化には欠かせない。すでに、地域に根差した独自の取り組みを進めている住民もいる。地域の力を高める関係自治体の知恵と工夫が一段と問われる。