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社説

民主党チーム 報道の自由を脅かす 1月21日(木)

 小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地購入をめぐり元秘書らが逮捕された事件で、民主党は「捜査情報漏えい問題対策チーム」を設置した。

 検察が意図的に情報を流しているかどうか、新聞やテレビの情報源を調べようというのだ。検察の捜査に加えて、党に批判的な報道をけん制する狙いなのだろう。

 政権党によるメディアのチェックである。言論・報道の自由の侵害につながりかねない。

 民主主義の基本原則を揺るがすものであり、容認できない。

 「…言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」。憲法21条の規定である。国民には知る権利があり、報道機関はそれに応える使命がある。

 公務員の守秘義務違反を理由にして、取材源の調査にまで踏み込むとなれば、政府への取材活動は成り立たなくなる。

 最高裁は過去に、公務員への取材について、守秘義務と対立しても「真に報道が目的で手段が社会通念上相当なら正当な業務行為」との判断を示している。民主党の今度の動きは、これまで積み重ねられてきた判例や社会的合意に反している。

 ほかにも、おかしな発言がある。テレビ報道で情報源を「関係者によると」と表現したことに、原口一博総務相が「検察と被疑者どちらの関係者なのか分からない。そこを明確にしないと、公共の電波を使ってやるにしては不適だ」と述べたことだ。

 総務相はテレビ局に対して電波使用の認可権限を持ち、監督する立場である。露骨な圧力ととられかねない内容だ。権力とマスコミは、対等で緊張した関係にあるのが本来の姿だ。そのことについての理解が足りないのではないか。

 無論、報道は中立・厳正・正確でなければならない。公的な人の発言ならば、できるかぎり取材源を明示することが望ましい。マスコミが守らなければならない原則である。

 報道は時に、間違いや行き過ぎがあることは認めざるを得ない。ただしそうした問題は、マスコミ自身の努力と、読者、視聴者との対話によって乗り越えるべきものである。権力の介入は不要だ。

 検察がすべて正しいとは言えないことも事実だ。これまでも捜査を有利に運ぶための情報操作が行われている。意に沿わない報道をしたマスコミを出入り禁止にしたこともあった。

 報道の自由は、そうした検察の姿勢を正すためにも不可欠だ。

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