社説
日米安保50年 新たな協力探る構想を(1月21日)
日米安全保障条約が1960年に改定されてから50年がたち、鳩山由紀夫首相とオバマ米大統領が談話と声明を発表した。
「わが国が今日まで平和を維持し、経済発展を享受できたのは、日米安保体制があったから」。首相はそう評価し、大統領も「両国に前例のない繁栄と平和をもたらした」と役割をたたえた。
米国との同盟関係が日本の安全保障に大きく貢献し、戦後の復興と成長を下支えしてきたのは確かだ。
同時に、首相は談話の中でアジア・太平洋地域に安心を提供する「公共財」だとも位置づけた。日米が緊密に連携し、その経済力を関係国の発展に生かして地域の平和と安定に寄与していくことは重要だ。
ただ中国などには安保条約を日本の軍事大国化を防ぐ「瓶のふた」と見なす議論がある。過去の歴史に基づく日本への警戒感は、なお消えていないということだ。
大事なのは、安保体制の運用において平和憲法の理念を踏み外さないことである。
改定から半世紀の節目に、この原則をあらためて確認したい。
日米の外務、防衛担当4閣僚も共同声明を発表し「沖縄を含む地元の基地負担を軽減するとともに、米軍の駐留を含む抑止力を維持する」方針を強調した。
米軍の抑止力と基地の負担。言い換えれば「効用」と「コスト」のバランスを適切に保つことが安保体制の安定に欠かせない。
北朝鮮の核開発や国際テロなどの脅威をどう分析するか。日本の防衛をどこまで米国に依存するのか−。国民に開かれた論議を進め、広範な理解とコンセンサスを得ていく作業を、その出発点としたい。
当面の懸案である米軍普天間飛行場の移転問題も、その文脈で解決が図られるべきものだ。
日米両政府は近く「同盟深化」のための協議を始める。鳩山首相は年内にオバマ氏との間で共同宣言にまとめたい意向だ。
日米安保共同宣言は96年にも行われた。冷戦終結に伴う安保再定義の成果とされたが、日米の軍事一体化を推し進め、「9・11」後にアフガニスタンとイラクへ自衛隊を戦時派遣する道を開く結果となった。
その後、世界は多極化へと向かい、中国、インドの台頭でアジアが地域全体の存在感を高めている。
安全保障のとらえ方も重層化し、かつてのように軍事一辺倒でなく、環境やエネルギー、災害など他の要素が比重を増してきた。
首相には、こうした変化を踏まえ、軍事に偏らない21世紀の同盟像を描き出す構想力を求めたい。
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