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日中、食品安全確保へ覚書 工場立ち入りを容認

2010年1月21日3時2分

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 【北京=峯村健司】中国製冷凍ギョーザに農薬が混入した事件をきっかけに、日中両政府が協議していた「日中食品安全協力推進に関する覚書」の全容が明らかになった。食品安全事故が起きた際に原材料や残留農薬などの情報を相手国に提出することや、工場への立ち入り調査受け入れを明記した。近く正式発表される。

 2008年1月に起きたギョーザ事件では両国間の情報交換が進まず、真相究明が遅れる一因となった。覚書はその反省を踏まえたもの。中国政府関係者は「両国が密接に協力することで、中国製食品の信頼回復と事件の再発防止を進めたい」と話している。

 覚書は、国内検査で不合格となったり、事件を引き起こしたりした製品があった場合、製造元や生産日、輸出に関する証明書類を相手国に通知することを定めている。

 特に重大な食品安全事故が起きた場合、健康被害、原材料にかかわる情報、調査結果と再発防止対策など、より詳しい情報を相手国に伝える。また、衛生管理状況を調べるための製造元への立ち入りを受け入れるとしている。

 食品のほか、添加物や食器、おもちゃも対象とする。日本の厚生労働省と中国の国家品質監督検査検疫総局に窓口となる担当官を置き、年に1回、閣僚級の会合を開く。

 ギョーザ事件後、日本国内で中国産品への印象が悪化したため、中国当局は長期的な協力の枠組みづくりを呼びかけていた。これに対し、日本側には未解決事件に終止符を打つ狙いではないかとの疑念から消極論もあった。しかし、有害物質メラミンによる乳製品汚染、ウナギから農薬が検出されるなど中国製食品関連の事件が後を絶たないことから、ギョーザ事件とは切り離して協議に応じた。

 日本政府関係者は「ギョーザ事件では、発生後しばらくたってから中国側との協議名目で工場を見せてもらうのが精いっぱいだった。これからは速やかに立ち入り調査ができる」と覚書を交わす意義を強調している。

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