「まるで圧力団体」民主、検察&メディアに“あの手この手”

2010.01.20


報道に不快感を示した原口氏【拡大】

 民主党の小沢一郎幹事長の「金脈」事件で、政府・民主党が検察やメディアへの攻勢を強めている。検察側に対して取り調べの録音・録画を義務づける刑事訴訟法改正案(可視化法案)の国会提出を検討し始めたほか、「捜査情報漏えい」調査チームなども発足。メディア側には、原口一博総務相が「報道は情報源が不明確」とかみついたのだ。野党側からは「まるで圧力団体だ」との批判が渦巻いている。

 金脈事件に絡み、民主党は18日、検事出身の小川敏夫参院議員をトップとする「捜査情報の漏えい問題対策チーム」を立ち上げた。金脈事件の報道内容が検察側のリークに依存するものだとして、国家公務員による守秘義務違反を追及するのが狙いだ。

 平野博文官房長官が対策チーム設置について「あまりにも一方的に情報が媒体に出てきている。不公平感を感じる」と理解を示せば、石井一党選対委員長も「情報がどこから出てくるのか。検察がリークをしていいのか。守秘義務があるはずだ」と指摘する。

 また、民主党の高嶋良充参院幹事長は、捜査当局が捜査に支障があるとの理由で抵抗している可視化法案の国会提出に関し、党幹事長室で対応を協議する考えを表明。さらに、小沢氏の側近とされる松木謙公国対副委員長らは、衆院議員の石川知裕容疑者の元秘書が自民党勉強会で証言した内容は虚偽が含まれるとして、元秘書への法的措置を検討していることを明らかにした。

 一方、批判の矛先はメディアにも向けられた。

 「『関係者(によると)』という報道では、検察と被疑者のどちらの関係者なのか分からない。そこを明確にしないと公共の電波を使ってやるには不適だ」

 原口総務相は19日の記者会見で、金脈事件報道の内容について、こう不快感をあらわにした。放送局の監督権限を持つ総務相の立場だけに波紋を呼びそうだが、それ以上に「最近、小沢氏との距離を縮めているだけに、政治的な意図もあるのでは」(永田町事情通)との声もあがる。

 こうした政府・民主党による攻勢に対し、自民党の谷川秀善参院幹事長は「圧力をかける会でしょ。大政翼賛会みたいな話だ」と批判。自民党関係者も「小沢氏と一緒に検察と闘う姿勢をここまで鮮明にしてしまえば、自ら有権者の『民主党離れ』を加速させているようなものだ。小沢氏がこけたら党全体がこける前代未聞の“珍現象”が起きるのでは」と話している。