2010年1月21日0時4分
アメリカのラスベガスで開催された世界最大の家電展示会「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、大手エレクトロニクスメーカー各社が3次元(3D)テレビを大々的に展示し話題を集めている。
薄型テレビはここ数年、大型化と薄型化を競う一方、市場においては年間20%も価格が低下、日本メーカーは収益面で課題を抱える状況となっている。3D映像を駆使したSF映画「アバター」のヒットもあり、メーカー各社が単価アップと市場拡大の救世主として期待しているのが3Dテレビだ。
3月にはパナソニックが米国市場で発売するのを皮切りに、ソニー、東芝が年内の発売を表明したほか、韓国のサムスン、LG電子も年内には追随の姿勢を見せるなど、各社そろって今年を「3Dテレビ元年」と位置付け、家庭への本格的な普及を目指している。
米国の調査会社によると、2013年には世界中で1500万台以上の市場となるといわれているが、普及には課題も多い。長時間の視聴による健康への影響の不安や、視聴に専用の眼鏡が必要なことなどである。さらに、3Dでの視聴に適したコンテンツの作成、提供も今後の課題であろう。
CESでは韓国メーカーの他にも、中国のTCLや米国のビジオなど、低価格を強みとする各社も3Dテレビを既に開発、展示しており、市場が形成されたとしても、あっという間に価格が下がり、薄型テレビ市場と同様の状況となる可能性も考えられる。
2010年は3Dテレビに加え、1年後にアナログ停波を控えてデジタルへの切り替えの正念場となるなど、テレビ業界から目を離せない1年となりそうである。(H)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。