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青森・強盗強姦 一審裁判員裁判 弁護側「量刑重すぎる」
全国で初めて性犯罪を審理した青森地裁の裁判員裁判で強盗強姦(ごうかん)罪などに問われ、求刑通り懲役15年の判決を受けた本籍千葉県、無職田嶋靖広被告(23)の控訴審初公判が20日、仙台高裁であった。弁護側は強盗強姦2件のうち1件について「一審判決には事実誤認や法令適用の誤りがあり、量刑も重すぎる」と述べ、一審判決の破棄を求めた。
裁判員裁判で審理された事件の控訴審は東北で初めて。志田洋裁判長は、弁護側が求めた被告人質問を却下し、即日結審した。判決は2月17日に言い渡される。 弁護側は「強盗の意思は強姦後に生じており、強盗の機会に乗じて強姦する強盗強姦の要件を満たさない」として、強姦と強盗の併合罪にとどまると主張。検察側は「捜査段階と一審を通じて、強姦前に強盗の意思があったと供述しており、強盗強姦罪の成立は明らかだ」と述べた。
量刑では、強盗強姦の1件は少年時の犯行だった点や被害感情に傾きすぎていることを指摘した弁護側に対し、検察側は「被告の生い立ちや年齢、更生も考慮した上での量刑選択だ」として控訴棄却を求めた。 田嶋被告は十和田市で2006年7月と09年1月、女性2人にそれぞれ性的暴行を加え、現金を奪うなどしたとして起訴され、裁判員裁判で窃盗と同未遂の2事件も一括審理された。
◎完全な立証 弁護士にも/新主張取り調べ認められず
裁判員裁判で審理された事件の控訴審公判が東北で初めて開かれた20日の仙台高裁では、弁護側から出された新たな主張をめぐり、検察、弁護側が対立した。新主張に関する事実取り調べが認められなかったことは、一審の裁判員裁判での主張・立証活動に漏れは許されないという重い責務が、弁護士にも課されていることを示した。
弁護側は、事実経過から「強姦(ごうかん)前から強盗の意思があった」とする被告の捜査段階の供述と、これを追認した一審での法廷供述の信用性に疑問を呈し、強盗強姦罪は成立しないと主張。閉廷後、仙台高検の高畠久尚刑事部長は「強盗の犯意発生が強姦後という主張はこれまでなく、立証制限に触れる」と指摘した。 争点や主張を整理する公判前整理手続き後、やむを得ない理由がなければ新たな証拠調べ請求はできない。この整理手続きを経た裁判員裁判と、主に一審判決に誤りがないかどうかを点検する控訴審の性質から、裁判員裁判の控訴審は従来の控訴審以上に被告の防御権が制約されるとみられる。
一審弁護人は犯意の発生時期を含め、起訴内容を争わなかった。弁護方針は弁護人によって異なるが、控訴審弁護人の阿部泰雄弁護士は「一審の弁護活動は被告の利益を最大限に考慮して行われたとは思うが、自分が一審弁護人なら今回と同様に主張しただろう」と語る。 どの段階でも十分な弁護活動が求められるのは当然だが、公判前整理手続きの在り方と、公判段階での追加的な主張・立証を厳しく制限する裁判員裁判の運用方法にも、再考の余地はある。(報道部・若林雅人)
2010年01月21日木曜日
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