焦点となっているのは陸山会が2004年、東京・深沢の小沢氏自宅近くに購入した土地の代金約3億5000万円。小沢氏は「積み立ててきた個人資産」として、1998年に信託銀行の和子さん名義の口座などから引き出した約3億円のほか、土地購入時には和子さんや3人の実子名義の定期預金や外貨預金などが約3億円以上あったと主張するという。
特捜部は今週末とされる小沢氏の聴取後に、和子さんの聴取も小沢氏側に要請。「家族を表に出したがらない小沢氏は、和子さんの聴取にも非常に消極的」(政界関係者)というが、和子さんはどんな人物なのか。
和子さんは、新潟県の中堅ゼネコン「福田組」(東証1部上場)の創業家一族で元会長(09年死去)の長女。元会長は田中角栄元首相の後援会幹部でもあり、小沢氏が田中元首相に師事していたことから、田中元首相の仲立ちで結婚した。「独身だった小沢氏が初当選(69年)直後、田中元首相に結婚について『おれに任せるか?』と聞かれた。それから間もなく見合いがセッティングされた」と政治評論家の小林吉弥氏が明かす。
結婚後は福田組が小沢氏の選挙資金調達に大きなかかわりを持つようになったという。ちなみに和子さんの妹、雅子さんは、竹下登元首相の弟で現衆院議員の亘氏(63)の妻となっている。
小沢氏の2回目の選挙(72年)では、和子さんは岩手の選挙区をくまなく回って5000人以上の有権者と握手して手のひらが腫れ上がるほどだった。その後は小沢氏が盤石の地盤を築いたこともあり、ここ数年は民主党関係の公の場にはほとんど出なくなった。
その代わり秘書や書生のまとめ役を引き受け、非常に気を使って面倒もよくみているといい、元私設秘書の石川知裕容疑者(36)や公設第1秘書の大久保隆規容疑者(48)も頭が上がらないという。「性格的には女丈夫というか、しんが強く腹も据わっている。それでいて表面は穏やかで政治家の妻としてぴったり」(小林氏)。
また、今も福田組の大株主で、有価証券報告書(08年6月)によると、発行済み株式の3・03%を保有し第8位。「敬妻家」(小林氏)の小沢氏を資産面でも支えているという。