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日産婦・海野委員長
「勤務医の希望」と評価
改定骨子の「処遇改善」明記
2010.1.20

 日本産科婦人科学会医療改革委員会の海野信也委員長(北里大病院副院長、産婦人科教授=写真)は16日、本紙の取材に対して、15日の中医協総会で、パブコメの骨子案の中に勤務医の負担軽減の事項に「処遇改善」の文言が入ったことについて、「勤務医の希望をつなぐ言葉として評価できる」と指摘した。

 日産婦は、産科・周産期医療再建に向けた要望事項として「勤務環境確保加算」の新設を最優先課題としていた。その場合、全診療科と産科施設の算定要件として、当直体制を組み時間外手当の支給が適正に行われている病院や、医師の交代勤務を実施していることなどを提案。しかし、医師の手当に直接つながる報酬の在り方にコンセンサスが得られない中医協のこれまでの議論を反映し、「勤務環境確保加算」はパブコメに盛り込まれなかった。

●急性期4000億円は処遇改善に

 海野委員長は、急性期医療に4000億円の配分を考えた場合、「人を切り捨てない医療」を実現するため、医師に限らず医療スタッフの処遇改善に少しでも多く配分してもらいたいとした。2008年度診療報酬改定では、ハイリスク分娩管理加算等において、「勤務医の負担軽減のための計画作成」などが算定要件となり、処遇の改善もそれに含まれることを舛添前厚労相らが明言していた。さらに、大学病院などが算定しやすいように医師の勤務時間数の届け出申告を簡略化するなど、算定施設の拡大が図られた。しかし、昨年6〜7月の日本産婦人科医会の調査によると、診療報酬のハイリスク加算(分娩管理加算、妊娠管理加算、妊産婦共同管理料)を算定している施設で、医師手当など処遇改善として医師への還元を行っている施設は8.2%で、1割に満たないのが実態。

●ハイリスク分娩管理加算の算定要件見直しで模索

 海野委員長は、「病院経営を進める上で、増収分は、赤字補填にと考えやすい。しかし、前回の改定を含め今回の改定も勤務医の負担軽減が重点課題になっている。それを少しでも具現化してもらいたい」とし、「それこそ病院が改定の趣旨を踏まえた配分をすることを促してもらいたい」としている。

 同委員長は、今後、ハイリスク分娩管理加算の算定要件の見直しの中で、医師の手当に直接つながる報酬の在り方を模索していきたいとしている。


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