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取り調べ可視化法案:対検察、首相慎重 民主の提出けん制

 鳩山由紀夫首相は20日、首相官邸で記者団に対し、捜査機関の取り調べを録音・録画する刑事訴訟法改正案(取り調べ可視化法案)について、今通常国会提出に慎重な考えを示した。小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る捜査が続く中、法案提出は検察へのけん制と映るだけに、鳩山首相は「検察に対する批判と受け止められる可能性もある」と指摘した。

 民主党内では事件を受けて、可視化法案の早期提出を目指す動きが表面化している。輿石東参院議員会長は20日の参院議員総会で「(今国会に)提出すべきではないかという意見がある。冷静な判断の上にきちんとした対応が必要だ」と述べ、今国会での法案提出に前向きな考えを表明した。党内には議員立法での法案提出を検討する声も出ている。

 民主党は昨夏の衆院選マニフェスト(政権公約)に「可視化」を盛り込んでおり、「事件を機に持ち上がった話ではない」(平田健二参院国対委員長)と釈明している。同党の川内博史衆院議員も20日、取り調べの可視化を目指す議員連盟の発足へ向け、党所属議員に参加を呼びかけるファクスを送った。

 しかし、与党内にも「このタイミングで、可視化問題を出すのは誤解を招く」(国民新党の下地幹郎政調会長)と否定的な意見が根強い。平野博文官房長官は20日の記者会見で「今国会における政府提出法案には入っていない」と述べた。【白戸圭一、横田愛】

 ◇野党時代の法案、現実的に見直し 法務省

 取り調べの可視化を巡って、法務省は政権交代後の09年10月、政務三役を中心に法整備のための勉強会を設置した。導入には、野党時代に提案した議員立法を現実的な内容に改める必要があると判断。来年度当初予算にも調査研究費を計上して論点整理を進めており、今通常国会での提案は難しいとの認識だ。

 民主党の法案は、全事件で一律に任意段階からの可視化を義務づける内容。法務省は「真相解明が困難になり治安悪化につながる」などと反論していた。千葉景子法相は就任時は議員立法に沿う法制化を強調したが、既に導入している韓国を視察するなど「捜査に与える影響も整理が必要」との姿勢にシフトしている。

 加藤公一副法相は20日、報道陣に「党からは何ら話をいただいていない」とした上で、「現実に制度として導入するとなると、メリット・デメリットを含めて精査する必要がある」との考えを示した。【石川淳一】

毎日新聞 2010年1月20日 21時06分(最終更新 1月21日 0時42分)

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