遺伝子組み換えで世界を汚染するモンサント社

2006年9月30日フィリピン・マニラ 遺伝子組み換えトウモロコシの畑に作られた巨大サークル。 2006年9月30日フィリピン・マニラ 遺伝子組み換えトウモロコシの畑に作られた巨大サークル。
モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシに反対するため地元の農家とグリーンピースで作った「クロップサークル」は、モンサント社(Monsanto)のMにクロスを書け、遺伝子組み換え作物への抵抗をあらわしている。

現在の食糧危機の問題に際し、遺伝子組み換え作物が解決策のひとつであるかのように捉える傾向がありますが、そうではありません。フランスのテレビ局ARTEが最近放送した「The World According to Monsanto(原題)」が世界の90%以上の遺伝子組み換え種子を開発している大手農業化学企業モンサント社の実態を暴いています。
日本でもNHK BS-1 で放送されました。

フランスのジャーナリスト、マリー=モニック・ロバン(Marie-Monique Robin)が、モンサント社の除草剤ラウンドアップや遺伝子組換ダイズの危険性、いかにそれを政府・行政との癒着によって隠蔽してきたか、そしてポリ塩化ビフェニル(PCB)や枯れ葉剤製造という歴史について、3年をかけて綿密に調査し、告発しています。

「モンサント社7つの大罪」日本語版完成

米国の大手農業化学企業・モンサント社の社会的誓約のひとつひとつを検証したレポート「モンサント社7つの大罪」の日本語版が完成しました。モンサント社は、世界の遺伝子組み換え種子の90%を開発・所有していますが、このレポートでは市場支配のために、同社が、環境問題、農家の暮らし、消費者の利益などを踏みにじる真実の姿が明らかにされています。ぜひご一読ください。

『モンサント社7つの大罪』日本語版(PDFファイル4ページ 4MB)
※印刷する場合は白黒をお勧めします。

ブラジル・ポルトアレグレにあるモンサント中南米本部に対して、「わたしたちのお皿から遺伝子組み換えは出て行って!」とバナーを掲げて抗議
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ダイオキシンやPCBを作ってきた歴史

遺伝子組み換え作物を開発している企業で最も有名なのは、アメリカのモンサント社です。この会社は、環境を汚染し人々の暮らしを破壊した不名誉な歴史を持ちます。最も有害な毒物ダイオキシンを多量に含有する薬物である「枯葉剤(エージェント・オレンジ)」をベトナム戦争時代に生産した企業のひとつです。

米軍によって撒布されたこの薬品は、多数の死者を出し、先天性欠損症の原因となっています。またモンサント社は、人々と環境に破壊的なダメージを与えるPCB(ポリ塩化ビフェニル)を生産している会社です。PCBが危険だという多数の証明にもかかわらず、1970年代に禁止されるまでこの化学物質が安全であると宣言していました。

世界最大の開発企業

モンサント社は、遺伝子組み換え製品の開発とマーケティングの世界的リーダーであり、現在、世界で最も巨大な農薬生産会社でもあります。2002年に植え付けされた90%以上の土地の遺伝子組み換え種がモンサント社のものでした。遺伝子組み換えダイズを含むそれらの多くは、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」に抵抗力を持つよう遺伝子組み換えがなされたものです。

米政府に強い影響力

モンサント社は、遺伝子組み換え作物の大生産国であるアメリカの政府に大きな影響を与えています。同社は、自社の遺伝子組み換え製品が安全であるという独自の報告書を作成していますが、アメリカの行政当局は、その調査の結果に基づき、認可を決定しています。

特許により市場支配をねらう企業

生物の多様性に脅威をもたらすだけでは十分ではないらしく、モンサント社、シンジェンタ社、バイエルクロップサイエンス社、デュポン社といったバイオテクノロジーの巨大企業は、遺伝子組み換えの使用に対する特許料の支払いを生産者に要求しています。

遺伝子組み換え作物を生産し農業を営んでいる南北アメリカの生産者たちは、もし彼らが翌年の栽培のために種子を保存したり、あるいは特定企業以外の除草剤を使用した場合は起訴されるという内容の契約書に署名しなければいけません。

種の特許により、これらの企業は農産物の市場を独占しようとしています。彼らは誰がどのような条件で作物の栽培や販売をするのかをコントロールしたいのです。

その他の「遺伝子組み換え」を進める企業

シンジェンタ社

2000年にスイスの製薬企業ノバルティスファーマ社の農薬や種子の販売部門とスウェーデン/英国の製薬企業アストラゼネカ社の農薬バイオ技術リサーチ部門が合併して設立されたスイスの企業。世界で2番目に大きい農薬生産企業であり、3番目の大手種子生産企業でもあります。

バイエルクロップサイエンス社

ドイツの大手化学薬品企業であるバイエル社の子会社。遺伝子組み換え作物開発と市場における重要な役割を担っています。

バンジ社

年間総収入は220億ドル。その多くは遺伝子組み換え品を含むダイズから生み出されています。ダイズの加工や取り引きにおいて世界をリードする企業ですから、扱う製品の環境に対する安全性に非常に大きな責任があると言えます。

カーギル社

穀物、コーヒー、綿、ゴム、砂糖、石油など様々な商品を取り引きする大手商社です。アメリカでは、最大の穀物輸出業者で、ヨーロッパでは、食用油の三大主要原料であるダイズ、カノーラ、ヒマワリの販売で大きなシェアを持っているので、遺伝子組み換え作物の取り引きにも大きく関わっています。

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