| 2010年1月5日 09時49分 | |
県民が自らの意思と、投票行動で沖縄の将来を決める節目の年になる。11月予定の県知事選を天王山に夏の参院選、5市6町6村の首長選、さらに6市6町18村の議員選が相次いで行われる。
今月24日投開票の名護市長選は、米軍普天間飛行場を辺野古沖に移設する日米合意案への対応が最大の争点。結果が同飛行場の移設地に関する鳩山政権の判断や日米関係にも大きな影響を与えるのは必至だ。
知事選、参院選では普天間問題に加え、新たな沖縄振興計画のありかた、年々厳しくなる県、市町村財政の立て直し、福祉、教育など県民生活にかかわるさまざまな事柄が取り上げられる。
いずれも難しい判断を伴うが大切なことは県民が沖縄の将来を見据え、冷静に判断する姿勢だろう。
自民党から民主党への政権交代は、この国の政治に変化をもたらした。名護市辺野古への移設が決まっていた普天間飛行場の移設問題では移設先をめぐって政権内で迷走した末に結論が先送りされた。
マニフェスト(政権公約)の変更や政策のブレなど批判はあるが、政策転換の影響は基地問題や沖縄の振興策にも確実に波及している。
国内政治が大きく変わり、重要選挙が重なる年だからこそ、「沖縄の民意」を全国に発信し、政府の政策に反映させていく発想の転換も必要だろう。
選挙は政治に参加できる絶好のチャンス。沖縄の未来を選択する意気込みで、県民の意思をしっかり示したい。
沖縄の選挙では、基地問題がクローズアップされる。米兵による事件、事故は後を絶たず、広大な米軍基地は都市政策の阻害要因となり、地域経済に与える影響も大きい。
基地問題の解決は沖縄の未来図を描く上で必要不可欠な課題だが、県民は選挙の度に国政や外交問題が争点になることで県民は厳しい判断を迫られてきた。
とりわけ名護市民は1997年の海上ヘリ基地をめぐる市民投票以降、今回の市長選で普天間飛行場の移設問題に絡み4度目の決断を下すことになる。
政府は地方の知事選、首長選に外交問題を持ち込み、県民や市民に負担を強いた責任を重く受け止めるべきである。この国には、沖縄以外に46都道府県と1700を超える市町村がある。安全保障にかかわる判断を沖縄県民だけに頼ってきた構図を変えるための国民的議論が必要だ。
県民は復帰前の70年に行われた国政参加選挙など時代の転換点で好むと好まざるとにかかわらず、大きな選択を何度も経験してきた。
その結果、高い政治意識が培われ、選挙の度に民意が示されてきた。今年もその「眼力」が問われる。
正しく判断するには国、県、市町村の10年後、20年後のあるべき姿について政党、候補者が提示する政策、公約を厳しくチェックすることが重要だ。
幾多の難局をくぐり抜けてきた貴重な経験は、選択の年にこそいかされる。