| 2010年1月4日 09時48分 | |
最悪期は脱した、と言われる世界経済。だが、決して明るい展望が開けたわけではない。中国や新興国は回復傾向にあるものの、欧米経済の低迷はしばらく続くとみられる。輸出依存体質の日本経済は、円高に加えて国内のデフレ傾向という内憂外患に直面し、2010年も厳しい1年になると言わざるを得ない。
世界経済、日本経済の苦境は県経済にも大きく影響する。外部環境に左右される観光業が主力であるだけに、今年も09年同様、苦戦を強いられることは必至だ。
しかし、外部環境の改善を待つ受け身の姿勢だけでは何も変わらない。財政悪化で身動きがとれない政府からの支援は望めないことを前提に、活路は自ら切り開く「仕掛け」が求められる年になる。
08年秋の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)から1年余。危機的状況に陥った世界経済は、先進国と新興国で構成する20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁が「危機脱出」を宣言するまでに回復した。だが、各国の財政状況は巨額の景気対策で悪化しており、危機以前の状態までの回復を期待するには無理がある。
世界経済の回復が遅れれば遅れるほど、輸出依存度の高い日本経済の先行きも暗い。
鳩山政権は、子ども手当、エコポイントやエコカー補助の延長、住宅版エコポイント創設などで「内需主導型」成長を目指すというが、昨年末に発表された各種指標を見る限り、光明は見えない。
内閣府の景気ウオッチャー調査(11月)は景気実感の悪化が顕著だった。厚生労働省調査では、昨年中に平均賃金を引き下げた企業の割合が12・9%と同調査で最も高かった。09年上半期の離職率は9・6%で、上げ幅1・4ポイントは調査開始以来最大だという。
就職に目を向けても、10年卒大学生の内定率は就職氷河期並みの低水準で、11年卒の採用も抑制傾向が続くことが各種調査でわかっている。
明るい材料といえば、12月日銀短観で、大企業製造業の景況判断指数がリーマン・ショック後の08年12月水準まで回復したことぐらいだ。
大学を出ても職に就けない。働いても給料は上がらず、倒産・解雇などでいつ離職を余儀なくされるかわからない。将来が見通せないと生活防衛意識は強くなる。家計重視の景気刺激策も、消費ではなく貯蓄に向かう。生活不安の解消なくして、「内需主導型」経済はあり得ない。
沖縄は日本経済の回復待ちでは沈滞化する一方であり、求められるのは行動だ。
例えば、観光は外国人誘客に全力を注ぐ。沖縄を訪れる外国人は全体の約4%にすぎないが、逆に開拓余地が残されているともいえる。高成長を続ける中国に的を絞ってもいい。客層が多岐にわたればリスクも分散される。
現在の苦境は、従来の「かたち」を見直す好機だ。
本業回帰か異業種展開か、総合店型か専門店型か―。自らの強みを見つめながら時代を読み、風をつかむために行動する姿勢が必要になる。