2010年1月1日 11時20分 | |
沖縄にとって2010年はずばり「選択の年」である。これから先どの方向に進んでいくのか、針路を決めるための重要な選択が一年を通して目白押しだ。
1月24日の名護市長選を皮切りに、切れ目なく首長選、市町村議員選が続く。夏の参院選と11月に予定されている県知事選は、鳩山政権の下で行われる全県規模の選挙である。両選挙は、争点・支持基盤のどれをとっても、従来の選挙構図を大きく変えることになるだろう。
沖縄振興特別措置法と同法に基づく沖縄振興計画は、11年度末(12年3月末)に期限切れを迎える。12年4月以降、どのような仕組みの下で沖縄振興を進めていくのか。新たに県独自の総合計画を策定するのか。その場合の財源はどのような仕方で確保していくのか。
政権交代が実現したことで次期振計をめぐる議論の様相は一変した。民主党県連は一括交付金の導入に積極的である。従来の振興体制から大きく変わる可能性がある。そのことを念頭に入れた準備が必要だ。
米軍普天間飛行場の新たな移設先を検討するため政府・与党は「沖縄基地問題検討委員会」を発足させた。委員会の結論を座して待つのではなく、沖縄側の意思を積極的に伝えていくべきである。
私たちは今、政権交代後の大変革期に身を置いている。自分たち自身が変わらなければ、大変革期を乗り切ることはできない。
沖縄の針路を明確に打ち出すためには、なによりもまず現状を深く分析することが必要になる。
昨年出版され話題を呼んだ『沖縄幻想』の中で、ノンフィクション作家の奧野修司さんは「九〇年代以降の沖縄は風化する一方だ」「次世代に送り出す資産が目減りしているのが目に見えてわかる」と愛情を込めて警告している。
豊かな自然環境、地域社会の細やかな助け合い、風土に根ざしたウチナーンチュの心根。これらが、かけがえのない「沖縄の資産」だとすれば、確かに資産の目減り現象は顕著だ。
財政依存、公共事業依存の経済体質は一向に改善されず、自立経済の夢は遠のくばかりである。
所得格差や貧困の問題は、教育環境・学力、健康・長寿など、さまざまな分野に波及し、沖縄社会をいびつにしている。
沖縄の自画像は、明と暗にくっきり色分けされる。いびつさが目立つ一方で、スポーツや芸能面では若い世代の台頭がめざましい。
明と暗のどちらか一方が沖縄の実像なのではなく、どちらも沖縄の自画像だ。
沖縄の針路を定めるにあたっては、政権交代後の新潮流に目をこらす必要がある。沖縄の役割をアジアという広い文脈の中で位置づけ直してみてはどうだろう。そこから新たな活路が開けるのではないか。「危機を機会に」という馴(な)染みのスローガンは、今の沖縄にこそふさわしいと言うべきだろう。