声優界衝撃「ロビンマスク役」郷里大輔さん路上死のナゾ

2010.01.20

 「キン肉マン」のロビンマスク役や報道番組のナレーションで活躍中だった郷里(ごうり)大輔さん(57)が17日、東京都内の路上で血を流して死んでいるのが発見された。自殺とみられている。13日に病死した「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉おやじ役だった田の中勇さん(77)と同じ事務所で面識があったことから、相次ぐ訃報は声優界に大きな衝撃を与えた。ベテラン声優はなぜ逝ってしまったのか−。

 警視庁中野署によると、17日午後3時ごろ、中野区本町の路上で郷里さんがうつぶせになって倒れているのを通行人が発見し、同署に通報した。「死後1−2時間は経過していた。建物のすき間に挟まるように倒れていた。付近は閑静な住宅街で、自転車(の速度)で通り過ぎたら見逃してしまうような場所」(同署幹部)という。

 郷里さんは腕から血を流していたほか、上半身にも深い傷があり、周囲には血だまりができていた。同署は死因を失血死とみている。近くには刃物があり、ポケットには家族向けに「ごめんね」「ありがとう」といった走り書きのメモが残されていた。現場には、自宅から徒歩で行った可能性が高いという。

 所属事務所の青二プロダクションは「遺族が密葬を行うが、私たちも日程を知らない。今のところ、お別れの会も案内できない」(担当者)。田の中さんとの関係は「当然、面識はあったが、2人の死はまったく関係ない」としている。

 ある声優仲間は「数年前から糖尿病を患い、網膜剥離を併発して視力が極端に低下していたようだ。仕事のたびに『台本が読めない。思うように仕事ができない』と愚痴をこぼしていた」と明かす。

 郷里さんはドスの利いた男性らしい声で有名。ロビンマスク以外にも機動戦士ガンダムのドズル・ザビ中将、魁!!男塾の江田島平八など、男の中の男というキャラが得意だった。声優仲間は「怖い声とは正反対に、誰からも慕われる優しい人柄だった。本当に残念です」と唇をかむ。

 アニメ以外にも日本テレビ系「ザ・サンデーNEXT」で長年、北朝鮮特集のナレーションを担当するなど、報道番組でも重用された。アニメ誌の編集者は「主役を張ることは少なかったが、声を聞けば誰もが分かるはず。昨年8月のガンダム30周年イベントでザビ家の声優が一同に集まり、『やらせはせんぞ!』と名ぜりふを発した時は、とても元気そうだったのに…」と語る。

 親友だった声優の井上和彦さん(55)は「19歳のころから養成所で一緒だった。2人でテレビを録音して練習したり、声を出すために立ち食いそばでアルバイトもした。昨年末にアンパンマンの収録で会った時は『もう年だよ』と、元気がない感じだった。思い詰めていたことに気づかなかったのが悔しい。結婚してお子さんもいたので、あまり連れ出すのも…と思い、付き合いが減ったのが残念。もっといっぱい話したかった」と話している。

キン肉マン