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社説

内閣支持率急落/政権交代が色あせないか

2010年01月20日 01:30
 鳩山内閣の支持率が急落した。不支持率が上回ったのは鳩山内閣として初めてである。むろん、政権与党の中枢にいる首脳2人の政治資金問題が影響した。政権は浮沈の大きな潮目に差しかかった。

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体による土地購入をめぐり、元秘書の衆院議員らが逮捕された事件が目下の焦点だ。世論調査では8割を大きく超す人が小沢氏の説明に納得していない。幹事長や議員の辞職を求める声も7割以上に上っている。検察との全面対決を宣言した小沢氏だが、どうやら国民の認識との開きは大きい。

 小沢氏が検察の参考人聴取に応じる意向を示したとされるのは、こうした厳しい世論も意識したのではないか。何より心配したのは参院選への影響だろう。鳩山由紀夫首相の偽装献金問題とともに、ほぼ9割が多少なりとも参院選に影響すると回答している。民主党の政党支持率も政権発足以来、最低となった。

 党内の動揺は大きいはずだが、表立って小沢氏を批判する声は聞こえてこない。鳩山首相に至っては「どうぞ戦ってください」と背中を押しており、きのうも「聴取を受けるかどうかはご本人の判断」と述べている。「政治とカネ」の問題に真正面から向き合おうとする姿勢が見えない。

 さらに違和感を覚えるのは、民主党が検察による捜査情報漏えい対策チームの設置を決めたことである。意図的なリークがなかったか調べるとみられる。事件の解明に向けたチームなら分かるが、これでは小沢氏対検察どころか、民主党対検察という全面戦争である。一蓮托生(いちれんたくしょう)ということだろうか。

 その検察の動きも慌ただしさを増している。きのうは小沢氏の地元岩手県で建設中の胆沢ダムに絡み、複数の中堅ゼネコンを家宅捜索した。一連の強制捜査が国会審議に影響することは承知のはずだ。威信を懸けた捜査であり、結果を国民は注目している。過去の政治資金絡みの事案に比べ、前のめりになりすぎているとの指摘もある。

 国会はきのうから代表質問が始まった。野党各党は「政治とカネ」問題を徹底追及する姿勢を明確にした。これに対し鳩山首相は、自身の偽装献金問題は検察の捜査で全容が解明され「決着した」との認識を示した。元秘書が在宅起訴されており、認識が甘いと言わざるを得ない。

 首相の答弁を聞く限り議論は堂々巡りで、国会は当面、政治資金問題一色となりそうだ。野党は「政治とカネ」の集中審議や参考人招致を求めている。うみを出し、政治資金規正法の構造的欠陥をただす機会にしなければならない。

 ただし、国会審議が政策そっちのけとなっては本末転倒である。政治資金の取り扱いは政治家の倫理に帰する問題であり、国民生活のために力点を置くべき議論はほかにある。

 民主党が自浄能力を発揮できないままでは支持率はさらに下落しかねない。それは同時に、政治の変革に期待した国民を裏切ることにもなる。政権交代への国民の幻滅を膨らませてはならない。

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