給油活動終了
2010年1月19日
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日本独自の貢献が必要
約8年に及んだ自衛隊によるインド洋での給油活動が、改正新テロ対策特別措置法の期限切れを受けて終了した。民主、社民両党は憲法との関係などから給油活動に反対してきた。政権交代を象徴する政策転換だと感じ入る。この機会に、日本の国際貢献のあり方、自衛隊派遣の原則を再確認すべきだ。2001年9月の米中枢同時テロを受け、米国は自衛権行使として翌10月にアフガニスタンに侵攻、「対テロ戦争」を始めた。北大西洋条約機構(NATO)の諸国も集団的自衛権の行使として軍事活動に参加。日本はテロ対策特別措置法を同月成立させ、海上自衛隊による給油活動を始め、米国などを「後方支援」する形となった。
しかし、テロ根絶の手段として米国が戦争を選んだことには強い批判もあった。テロを行ったのは国際テロ組織アルカイダだ。それに根拠地を与え、指導者ウサマ・ビンラディン容疑者引き渡しも拒否したとはいえ、当時のタリバン政権がテロを行ったのではない。
タリバン政権を力ずくで崩壊させたことが今に至るアフガン情勢混迷の背景だ。軍事力だけではテロ根絶はできないという事実が浮き彫りになった。オバマ米大統領は米軍増派を決定したが、その成否は不明だ。
日米関係は重要である。給油活動は「低いリスクで米国などから高い評価を得た」との指摘もある。しかし、アフガン、イラクという対テロ戦争の現状を見れば、平和憲法を持つ日本が独自の国際貢献を行う意義がますます大きくなっていると言えよう。
政府は給油活動終了を受け、警察支援や民生支援など非軍事の貢献を強化するとしている。適切な判断だ。人的貢献では安全面で「高いリスク」もあるが、最善を尽くしたい。
憲法との関係も問題だった。「米国の自衛権行使に日本が参加することは、集団的自衛権の行使をほぼ無制限に認めない限り憲法上できない」という民主党の指摘は重い。給油活動という後方支援が「憲法9条が禁じた武力行使に当たる疑いがある」ことも見過ごせない。今回の撤収を機に、自衛隊の運用に厳格さを取り戻したい。
英国とオランダでは、独立調査委員会でイラク戦争の検証が行われている。日本も米国の対テロ戦争を支持してきたことを真剣に総括すべきだろう。
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