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福島空港/費用対効果を考えた議論を(1月19日付)
低迷する福島−ソウル線の定期便維持に向けた佐藤雄平知事を団長とした訪韓団の要請に対し、同路線を運航するアシアナ航空側は「維持するよう頑張りたい」と、一定程度の理解を示した。
ソウル線維持のために、福島空港発着のツアーに対し、県はこれまでも県費(税金)による助成を行って搭乗率アップを図っている。日航の撤退からほぼ1年経過し、福島空港の利用者は落ち込み、ここでアシアナ航空が撤退したら、福島空港のイメージは低下するばかりだ。
こうした意味でソウル線維持のための県の努力は分かるが、補助金という「栄養剤投与」をいつまで続けるのだろうか。さらに2カ月後の3月には98番目の国内空港として茨城空港が開港し、アシアナ航空はソウル線を毎日運航する。
今回の訪韓で福島−ソウル線廃止の危機は取りあえず回避された格好だが、搭乗率が下がれば、北海道・旭川−ソウル線のように、いつ廃止されても不思議でない。アシアナ航空側は佐藤知事に対して、福島便は09年8000万円の赤字となり、収支改善には短期的な観光誘客より、恒常的な需要誘致が必要と指摘した。
議論は平時に、結論は有事にという言葉がある。行政は事態の悪化を前提にした議論はしたがらないが、ここは補助金投入をやめればどうなるのか、茨城空港開港でソウル線への影響はどうなるのか、空港維持の収支は毎年3億円の赤字が続いているが、費用対効果の面で空港を維持するのが得策なのかどうかも含めて、冷静かつ客観的に検討する必要があるのではないか。
これは日航が撤退を決めた時、情報がありながら、対策を打ち出せなかった経験から分かるはずだ。
県のまとめによると、福島空港の本年度利用者は昨年11月末現在で、20万6539人で、前年同期を12万9千人下回っている。県の本年度利用者予測は28万人だが、このままのペースで推移すれば予測よりは2万人多い30万人になる見込みだ。前年を大きく下回っているのは、日航撤退の影が大きいが、利用客がピークの1999年度から比べると、利用客予想30万人は4割にすぎない。
現在の2500メートル滑走路は、総事業費276億円を投じ2000メートル滑走路で開港した93年3月から7年後の2000年7月から使われているが、建設の主目的であったジャンボ機の発着回数は平均すれば年に1、2回。2500メートル滑走路が本当に必要だったかどうか。空港は道路や福島空港の不振など需要予測が甘かった、の一言に尽きるだろう。
空港は道路や上下水道など同じ社会資本であり、赤字だからといって即、閉鎖できるものではない。税金投入に値する効果があるのか、調査・研究する時期ではないか。
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