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社説:コメ配分格差解消 地域事情無視の国指導
2010年産米の生産数量目標の市町村配分で県は、生産調整(減反)未達成の大潟村など3市村に県独自の配分格差(ペナルティー)を残す当初方針を撤回、ペナルティーを10年度で一気に解消することにした。解消しなければ新設の戸別所得補償制度のモデル事業から本県を外すという「圧力」が国からあったためだ。地域事情を無視した国の強権ぶりには憤りを覚える。民主党の掲げる「地域主権」の趣旨にも逆行するだろう。
戸別所得補償制度を導入するに当たって国は、営農に支障を来すとしてペナルティーの全量解消を打ち出したが、地域によっては過去の経緯もあるため暫定期間として3年程度での全量解消もやむなしとしていた。これを踏まえ市町村への配分を協議する県米政策推進協議会(会長・佐竹敬久知事)は、生産調整未達成の3市村に対し09年度に科した県独自のペナルティー5200トンのうち、10年度は3分の1の1700トン(うち大潟村1600トン)を科すことにし、残り3分の2は2年程度で解消することを決定した。
これに赤松広隆農相が「大潟村の減反非協力農家はこれではやっていけない。秋田の決定を認めるわけにはいかない」と激怒。来県した農水省幹部も、10年度での全量解消を強く求め、解消しなければモデル事業の対象外にすることも示唆した。
国がモデル事業などの制度を詳しく都道府県に説明したのは昨年末のことだ。自らの制度設計の遅れから県への指導に適切さを欠いた点は否めない。また県が国の真意を測りかねたことも混乱の一因だろう。
本県の農家の8割は減反に協力してきており、こうした農家へのねぎらいの言葉もなく、とにかく大潟村へのペナルティー解消を強調する国の姿勢には、多くの農家が「正直者がばかをみるようなもの」と強い不満を抱いている。過去を一切水に流せといっても、言うはやすく行うは難しだ。それを数年かけて解決するという県の選択は、ベストではないにしろベターだったと考える。
ただ、国から言われたから従うという県側の姿勢は主体性がなく、弱腰と言わざるを得ない。確かにモデル事業から本県が外されるとなれば、農家への打撃は大きい。しかし、福島県などは数年かけて全量解消することを決め、国も容認する方向だ。本県の場合、解消幅が小さいため国が問題視したのだ。とすれば、解消幅を80%、90%へ引き上げるという選択もあったのではないか。地域の思いを代表して国へ抵抗を示すことも知事には求められる。
ともかく県は全量解消を決定した。生産数量目標の配分は大潟村と能代市を除く23市町村で減少する。生産調整に協力してきた農家には追加的な負担が伴う。県はこれら農家に数億円規模の支援策を打ち出した。着実に実行してもらいたい。
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