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小惑星探査機「はやぶさ」6月地球帰還 無事祈る鹿児島県関係者
(2010 01/19 10:37)
宇宙に飛び立つ前の「はやぶさ」=2003年4月、肝付町の内之浦宇宙空間観測所
 内之浦宇宙空間観測所(肝付町)から2003年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が、6月に地球に帰還する。数々の故障で満身創痍(そうい)状態になりながら、小惑星着陸という人類初の偉業を達成。最後の力を振り絞り宇宙を飛び続ける探査機に世界から注目が集まる。鹿児島県の関係者は「無事に帰って来て」とエールを送る。
 「M5ロケット」5号機で打ち上げられたはやぶさは重さ約500キロで縦1.6メートル、横1メートル、高さ2メートル。火星と木星の間にある小惑星「イトカワ」を目指した。太陽系の起源を知る手がかりとなる表面の岩石を採取し、地球へ持ち帰るのが主な目的だ。当初は、07年6月ごろ地球に帰還する予定だった。
 しかし、地球から約3億キロ離れたイトカワへの航行はトラブルの連続。三つある姿勢制御装置は二つが故障。05年11月に着陸したものの、直後に通信も途絶えた。
 通信は06年1月に奇跡的に回復したが、09年11月にはエンジン4基のうち3基が停止。残る1基の推進力も低下した。宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部の開発陣は、停止した1基の壊れていない部分と予備の配線でつながるよう地上から繰り返し指令を出し、推進力を確保した。
 打ち上げ当時の観測所長の的川泰宣さんは「故障しても復活を遂げる様子はまさに不死鳥」と表現する。トラブルに見舞われながら、世界で初めて小惑星に着陸し岩石を採取するというプロジェクト。「日本の宇宙開発技術の集大成。次世代を担う研究者のやる気を大いに刺激した」と説明する。
 内之浦の婦人会は、ロケット打ち上げのたびに、成功を祈って開発陣に千羽鶴を贈り続けてきた。鶴を折るよう各世帯を回った当時の婦人会長橋本雅子さん(75)=肝付町南方=は「元気をもらえるニュース。無事に地球に帰ってくることを毎日祈っています」。永野和行町長は「帰還の際は町をあげて喜びたい」と、広報誌の特集や横断幕の作成も検討している。
 はやぶさは1月14日現在、地球から約5800万キロの地点を航行中。大気の摩擦熱により探査機本体は燃え尽きるが、耐熱カプセルを放出しオーストラリアの砂漠で回収。岩石を採取できたかどうかは、カプセルを確認しなければ分からない。
 イトカワは直径200〜300メートル、長さ500メートルほどのサツマイモのような形をした小惑星。日本の初期ロケット開発を率いた故糸川英夫博士にちなんで名付けられた。
 

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