1月18日付 阪神大震災15年 防災へ教訓を生かそう
震災後の復興事業で道路は広くなり、建物も新しくなった。街は本当に美しくよみがえったようにみえる。だが、愛する家族や住まいを失った被災者の心に深く刻まれた傷は今なお癒えることはない。 兵庫県教委によると、被災経験のある公立中学3年生のうち、いまだ心のケアが必要な生徒は74人に上るという。復興住宅での生活を余儀なくされた高齢者が、誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」も後を絶たないのが実情だ。被災地・神戸には、まだまだ解決しなければならない課題が山積している。 徳島県内には南海・東南海地震の危機が迫りつつある。震災は決して他人事ではない。あらためて被災者の声に耳を傾けたい。 「路地裏には空き地が残る。商店街は衰退気味で、売り上げが落ちて最悪だ」(72歳男性)「震災で住民がバラバラになった。元いたところに戻りたい」(60代女性)「すべてをなくし、死んだ方が楽だった。今もその気持ちは変わらない」(66歳男性) 被災者が身をもって伝えてくれるこうした数多くの経験や教訓を生かしながら、県民挙げて「災害に強いまちづくり」への歩みを進めていかなければならない。 大地震への備えでとりわけ重要なのが住宅の耐震化だ。生活の基盤である住まいの安全が確保できなければ、被災後に住み慣れた地域で暮らしを立て直すことはできないし、地域で助け合う「共助」への余裕も生まれないだろう。 震災犠牲者の80%以上が家屋の倒壊や家具の転倒による圧死だったとされている。地域で暮らす高齢者や障害者らの「災害弱者」を守り、地域コミュニティーを維持するためにも、県や市町村は、住宅の耐震補強や家具の固定など「減災」への自助努力を促す効果的な対策を急ぐ必要がある。 震災以降、全国で地域の防災力を高める取り組みが盛んに行われてきた。これにより「共助」の分野では自主防災組織の結成率が大幅に上昇し、災害時の備えに厚みが増しつつあるようだ。今後も定期的に防災訓練を実施するなどしながら、組織がしっかりと機能するよう努めてもらいたい。また、高齢化と団員数の減少が進む地域の消防団の充実強化策にも知恵を絞ってほしい。 「公助」では、住民の避難所にもなる学校などの公共施設の耐震化が緊急の課題だ。ほかにも、長い避難生活の後に地域コミュニティーをどう再建させるかや、高齢者の「孤立化」を防ぐための福祉施策をどう構築していくかなど、取り組むべき課題を挙げればきりがない。 震災は、電気やガスなど日常生活に欠かせないライフラインの強化が必要なことにも気付かせてくれた。一層の対策を進めたい。 「人と人とが支え合うことの素晴らしさ」。被災者が何よりも伝えたいと願っているメッセージだ。 震災の記憶を風化させてはならない。次の世代、そしてまた次の世代へと、日ごろの備えや命の大切さを語り継いでいくのは、私たちに課せられた責務である。
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