1月17日付 小沢氏側近逮捕 疑心は深まるばかりだ
東京地検特捜部が、事務担当だった元私設秘書の石川知裕衆院議員と大久保隆規公設第1秘書、石川議員の後任だった元私設秘書の3人を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。 これを受け、小沢氏は党地方代議員会議で「迷惑を掛けている」と陳謝する一方で、「何もやましいことはない」と事件に関与したとされる自らの疑惑をきっぱりと否定し、幹事長にとどまる意向を表明した。続く党大会では、検察当局による逮捕を批判した。 事件の全容解明はこれからだが、現・元秘書という側近3人が逮捕された事実は極めて重い。このままでは、国民の疑心は深まるばかりだ。 やましくないというのなら、小沢氏は国民への説明責任をしっかりと果たし、事実関係を明らかにすべきだ。国民からの支持を受けた政権党を率いる幹事長であれば、なおさらである。 鳩山由紀夫首相も記者団に「小沢氏を信頼している」と語り、小沢幹事長体制を維持する考えを示した。しかし、信頼しているという言葉だけでは不十分だ。 党内からも、小沢氏の説明責任を求める声が上がっている。一部には幹事長辞任論もある。 首相はこうした意見を踏まえ、小沢氏に対して身の潔白を証明するよう強く働きかけるべきである。自らの偽装献金問題もあるのかもしれないが、党として自浄能力が働くようリーダーシップを発揮しないと、国民から見放され、政権運営に行き詰まるだろう。 あすから始まる通常国会では、自民党などの野党が、首相の偽装献金問題や小沢氏の土地購入問題を徹底追及する構えだ。 自民党は真相解明が必要として、首相の実母や小沢氏本人を含む17人の参考人招致リストを作っており、公明党と連携して質問するという。 しかし、参考人招致は慣例により全会一致が原則で、与党が拒否すれば実現は困難だ。民主党の山岡賢次国対委員長は、15日の党国対会議で「一切応じない」と小沢氏らの招致要求を突っぱねる方針を明らかにしているが、それでは国民の理解は得られない。 検察の強制捜査を批判して潔白というのなら、小沢氏はむしろ積極的に参考人招致に応じ、国会の舞台でそれを証明すべきだろう。 「政治とカネ」をめぐる問題は、国民の政治不信を招くばかりである。民主党も、自民党政権時代には疑惑があれば厳しく追及する立場を取ってきたのではなかったか。 今回の土地購入をめぐる捜査は、その原資を解明できるかどうかが最大の焦点になっている。 側近3人の逮捕に踏み切った特捜部はこれまでの捜査で、土地購入費として小沢氏が石川議員に提供したとされる現金4億円には、ゼネコン側からの裏献金が含まれているとの疑いを強めている。 国会での参考人招致が実現したとしても全容解明には限界がある。特捜部は公正公平な捜査に全力を挙げてもらいたい。
|
|