1月15日付 ハイチ地震 県内も警戒を怠るな
人口約200万人の首都ポルトープランスでは大統領府や国会、医療施設の大半が倒壊した。水道や電気などのライフラインも壊滅状態になるなど、街はがれきの山と化しているという。 犠牲者の冥福を祈るとともに、被災した人々に心からお見舞いを申し上げたい。 ハイチで治安維持に当たっている国連派遣団の本部ビルも全壊し、要員16人が死亡、150人が行方不明になった。地震の混乱が無政府状態をもたらさないか心配だ。 国連のハイチ特使を務めるクリントン元米大統領は「おそらく人口(約960万人)の3分の1が被災している」と、各国に早急な支援を求めている。 米国は、救援チームを現地に派遣したほか、空母や海兵隊なども送り、災害復興や人道支援に当たる方針だ。 中国やフランス、アイスランドなどの救助隊も現地入りした。 日本は医療支援に向けた緊急調査チームを派遣し、緊急無償資金協力などを行う。国際社会と協調し、被災者の支援に全力を挙げてほしい。 被害が拡大したのは、地震が大都市の直下で発生したことに加え、長く続いた軍事独裁政権時代の無策でインフラ整備や防災対策が立ち遅れていたためとみられる。 日本は救援活動と併せ、災害に強い国づくりにも協力したい。 地震はいつ、どこで起きてもおかしくない。われわれ県民も、今回の地震を遠い所のこととして済ませるのではなく、防災意識を高め、地震への備えをあらためてチェックする必要がある。 南海地震が30年以内に発生する確率は12日に、これまでの「50?60%」から「60%程度」に引き上げられたばかりだ。いよいよ危機が差し迫ってきたと言える。 県の想定では、南海地震が起きた場合のマグニチュードは8・4前後、東南海地震と同時発生なら8・5前後と、ハイチより強大だ。 同時発生だと、県内全域が震度5以上の揺れに見舞われ、沿岸部を最大9メートルの津波が襲うとされる。 被害をできる限り減らすには、やはり建物の耐震化が欠かせない。 県内には1981年以前の旧耐震基準に基づく木造家屋が約9万戸あり、このうち十分な耐震性があるのは約30%と推計されている。 災害時の避難場所となる公立小中学校の校舎や体育館の耐震化率も、昨年4月時点で55・3%、全国40位と遅れている。 災害時の医療拠点となる災害拠点病院と救命救急センターも、震度6強以上の大規模地震に対する安全基準を満たしているのは9施設のうち4施設だったことが、厚生労働省の調査で分かった。 早急に耐震化に努め、地域住民が安心して避難や治療ができる態勢にする必要がある。 南海地震では津波による被害も予想される。避難経路を再確認するなど警戒を怠ってはならない。
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