1月14日付 日米外相会談 新たな同盟関係を目指せ
日米同盟の深化は昨年秋、オバマ米大統領が初来日したときの首脳会談で鳩山由紀夫首相が提案し、オバマ大統領も前向きに応じていた。 鳩山首相はその際、核拡散抑止やミサイル防衛、宇宙利用で新安全保障システムを構築するほか、医療、環境など軍事以外の分野でも協力していく方針を示している。 世界を取り巻く環境が変化する中、日米が平和と安定に向けた新たな協力関係を築いていくことは極めて重要だ。その基軸となる日米同盟をどう深化させていくのか。じっくりと議論してもらいたい。 日米同盟が存在する最大の理由は「抑止力」とされる。冷戦時代は、日本に展開する在日米軍が外国からの対日侵攻を抑止し、朝鮮半島や台湾海峡など極東の平和と安定を守るというのが一義的な目的だった。 しかし、冷戦終結や米中枢同時テロを経て、日米同盟の性質が大きく変容してきている。 在沖縄海兵隊がイラクに派遣されるなど、在日米軍基地は対テロ作戦の「足場」としての実際的な価値が見いだされるようになってきた。 抑止力の在り方も変化しており、敵のミサイルを打ち落とすミサイル防衛などが中心になっている。さらに、米軍は新型ミサイルや爆撃機で世界のあらゆる標的を1時間以内に攻撃できるよう、体制の構築を進めているという。 こうした変化をしっかりと踏まえながら、日米同盟はどうあるべきかを考えなければならない。 外相会談で、岡田氏は日米の懸案となっている沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について、5月までに結論を出す方針を伝えた。これに対しクリントン氏は、名護市辺野古に移設する現行計画の早期履行を重ねて要請した。 しかし、米軍基地が集中する沖縄県民の意思も十分に尊重しなければならない。 日米同盟に関して鳩山首相は「対等な関係」を目指すとし、日米地位協定の見直しや米軍駐留経費負担の再検討を進める考えだ。 ただ、「対等」がどういうものかは明確にされていない。鳩山首相は「日米同盟が世界の平和と安全に果たせる役割や具体的な行動指針を日本からも提言し、協力していける関係だ」としているだけである。 これでは、あまりにも抽象的すぎる。日米同盟の深化に向けた協議では、日本がどんな関係を望んでいるのかを米側にはっきりと示す必要がある。普天間移設問題の解決も含めて、鳩山首相には強いリーダーシップを発揮してもらいたい。 著しい経済成長を遂げる中国が台頭するなど、国際社会は米国一極体制から多極化している。今後も、中国やインドといったアジアの新興国が世界経済のけん引役を果たしていくだろう。米国も、そんなアジアを重視している。 日米同盟は、そうしたアジアの平和と繁栄に貢献するものでなければならない。
|
|