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社説
1月13日付  新障害者支援制度  安心して暮らせる中身に  
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 政府の「障がい者制度改革推進会議」の初会合が開かれ、障害者自立支援法に代わる新たな制度づくりがようやく始動した。今年夏までに中間報告をまとめる予定だ。

 自立支援法の廃止は、民主党が衆院選のマニフェスト(政権公約)に掲げ、長妻昭厚生労働相も昨年9月に表明した。しかし、その後の見直しに向けた動きが見えず、関係者から制度改革の行方を心配する声も上がっていた。

 政府は、遅くとも2013年8月までに新たな制度を実施すると約束している。今度こそ、すべての障害者が地域で安心して暮らせる仕組みをつくり上げてほしい。

 政府の改革推進会議で目を引くのは、委員24人のうち過半数の14人を障害者やその家族とした点だ。国の障害福祉関係の審議会では異例の措置である。

 自立支援法は「障害者の意見を十分に聞かずにつくられた」と批判を浴びてきた。その反省を踏まえ、利用者の立場に立った制度設計を最優先に考えているのだろう。

 7日には、障害福祉サービスの利用を原則1割自己負担とした自立支援法をめぐり、違憲訴訟を起こしている原告団、弁護団と国が訴訟を終結させることで合意した。

 その際、長妻厚労相は「拙速な制度の実施で障害者の尊厳を深く傷つけたことに心から反省の意を表明する」と陳謝した。新たな制度づくりを進めるに当たって、政府はこの言葉を常に立ち返るべき原点としなければならない。

 改革推進会議などを通じて出される意見は、障害の種類や程度に応じて多岐にわたるとみられる。誰もが納得のいく制度になるよう、全力を挙げてもらいたい。

 新たな制度では、福祉サービスの利用量に応じて負担額が決まる現行の「応益負担」方式は廃止される見通しだ。「より多くのサービスを必要とする重度の人ほど負担も重くなる」との批判が出ていたためだ。

 厚労省が行った初の実態調査によると、自立支援法施行後の負担額が作業所などで働く賃金を上回った人は31・4%から52・5%に急増していた。これでは障害者が地域で自立した生活など送れるわけがない。本人の支払い能力に応じた「応能負担」方式に戻すのは当然だろう。

 新制度では、「障害」の範囲を見直し、サービスを受けられる対象を難病患者らに広げていくことも検討される。政府が目指す「谷間のない制度」づくりに向け、しっかりと議論を深めていく必要がある。

 新制度への移行によって、国の財政支出が増大するのは間違いないだろう。政府は財源確保への道筋も立てておかなければならない。

 昨年末に県内で開かれた障害者の雇用促進に関する発表会で、障害者は「仕事をしてお金をためて、車を買ったり旅行したりしたい」「家族に世話をかけてきたので、働いて楽をさせてあげたい」と力強く宣言した。誰よりも障害者が働くことや自立することを切望している。

 改革推進会議では、効果的な就労支援策についても十分に議論してもらいたい。障害者の自立を促すには、障害福祉の在り方をめぐる国民的議論も欠かせない。

徳島新聞社