1月12日付 県内経済 知恵を絞り「攻め」の年に
引き続き足元の景況感が上向き、景気回復を実感できる年になってほしい。 ただ、景気回復への道は平たんではなさそうである。 徳島新聞社が県内経済5団体の新年祝賀会で経営者20人に聞き取り調査した結果では、県内の景気回復時期を「今年」と回答した人は25%にとどまり、「2年後」が半数を占めた。「3年後」「それ以降」を含めると4人に3人が「回復には時間がかかる」との見方をしていた。 2008年秋のリーマン・ショック以降の景気低迷が依然尾を引いていることに加え、円高やデフレ、消費不振などが不安要素となっているようだ。 国内景気の二番底が懸念される中、県内企業が危機にしっかりと立ち向かい、景気回復軌道に乗せられるよう期待したい。 県内経営者の多くから、仕事始めで「厳しい今こそ前向きに」「悲観的にならず、新しい提案でしなやかに対応しよう」など、難局打開に向けての決意が聞かれたのは心強い。 不景気だからとひるむのではなく、先を見据え、攻めの姿勢で経営に当たってもらいたい。 従業員も逆境をはね返す心構えを持ち、地域の信頼と支持を得られるよう地道に励んでほしい。 東京株式市場の株価は年明けの大発会から上昇している。円高も昨年末から落ち着きを取り戻しているのはいい傾向だ。 政府は10年度の実質経済成長率を前年度比1・4%と、3年ぶりのプラス成長を見込んでいる。 それを実感できるようにするには、地方経済の一層の立て直しが急務である。 地方の中小企業は長引く不況で消耗しており、簡単に倒産させてしまわないよう、さまざまな手を打つ必要がある。 県内の経営者からは、景気回復策について「政治と経済が一体となった成長戦略が必要だ」「海外に目を向ける」「消費の活性化」などの声が多く聞かれた。 政府は昨年末に中長期の新成長戦略の基本方針を発表したが、具体化への肉付けが急がれる。 昨年の政権交代で鳩山政権は、自民党政権時代の公共事業中心の政策を、子ども手当などで家計を直接支援する方向に転換した。 「コンクリートから人へ」の脱公共事業路線に、地方では反発する声もあるが、知恵を絞って、柔軟に対応していくことが求められよう。 県内の雇用状況も悪化している。徳島経済研究所の調査では、今春の主要企業の新卒者採用予定数は前年春より42%も減少している。 若者が地域に定着できないのでは人口流出に歯止めが掛からない。経営者や行政は、なお一層、雇用の創出に努めなければならない。 企業に元気が戻ることが、景気回復の前提である。ピンチをチャンスに変える企業の構想力が、今こそ問われる。
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