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社説
1月11日付  関西広域連合  議論深め参加の是非を  
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 府県域を超えた広域行政を担う「関西広域連合(仮称)」の設立に向けた動きが本格化してきた。

 徳島県の飯泉嘉門知事ら7府県知事が広域連合の規約案に大筋で合意し、各府県議会での規約案の議決を経て今年中の設立を目指すことを確認した。

 関西広域連合は地方自治法に基づく特別地方公共団体で、国からの権限移譲の受け皿にもなる。

 設立されれば都道府県レベルとしては初めてのケースとなり、行政や経済関係者などの間には、鳩山政権が掲げる「地域主権」実現の動きをリードできると期待する声がある。

 一方で県民の関心は高いとは言えず、「どんな利点があるのか分からない」という疑問は根強い。二重行政になりかねないとの批判もある。

 広域連合の運営には各府県の分担金が必要であり、設立には県民の理解を得ることが不可欠だ。

 設立の意義は何か。県民生活にどんなメリットがあるのか、デメリットはないのか。準備に積極的にかかわってきた徳島県は、これらについて分かりやすく説明し、判断材料を示すべきだ。県民も大いに関心を持つ必要がある。

 規約案に合意したのは、徳島と滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、鳥取の7府県である。検討に加わってきた三重、福井、奈良の3県は「メリットが見えない」として、当初段階での参加を見送った。

 規約案によると、広域連合は当面「防災」「観光・文化振興」「産業振興」「医療連携」「環境保全」「資格試験・免許等」「職員研修」の7分野の事務に当たる。

 このうち、本県は四国4県で連携を図っている資格試験・免許等を除く6分野、鳥取は観光・文化と医療の2分野に参加するという。

 2010年度の予算は総務費を中心に約2億4600万円を予定し、本県の分担金は2451万円となる見込みだ。

 各府県が一体となって取り組める事業は少なくない。災害時の救援や観光、研究機関での連携、ドクターヘリの共同運航などである。

 ただ、本県は従来から防災や観光、医療などの面で広域連携を進めてきている。それとはどう違い、どれだけ効果が高まるのか、具体的な利点を示してもらいたい。

 広域連合は国の出先機関が廃止された際に権限を一元的に受けるというが、本県は河川行政などで四国3県との関係が深い。四国内での連携推進とどうバランスを取っていくのかも検討しなければならない。

 広域連合の設立は道州制の実現を促進させるとの見方もある。これに対して、飯泉知事は「直接的には関係するものではない」と否定している。しかし、モデルケースとなる可能性は高い。道州制についての議論も深めていく必要があるだろう。

 県は昨年7月、関西広域連合設立準備本部会議を設置し、県議会も調査特別委員会を設けた。7府県は各府県議会の2月定例会で規約案を説明し、6月定例会以降に議案として提案する方針である。

 広域連合をめぐる課題は幅広く、国の権限・財源移譲などとも深くかかわっている。県議会はじっくりと議論したうえで参加の是非を判断すべきだ。

徳島新聞社