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社説
1月10日付  日航法的整理へ  抜本的な立て直しを急げ  
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 経営危機に陥っている日本航空について、政府は会社更生法を適用した法的整理によって再建する方向で最終調整に入った。

 法的整理で再建を目指すのは、裁判所の管理下に置くことで再建手続きの透明性を確保するのが狙いだ。関係者で債権放棄額などを協議する私的整理を主張してきた民間の主力取引銀行も、これを受け入れる見通しという。

 再建には多額の公的資金が投入される見込みで、再建が軌道に乗らなければ、つけは国民に回ってくる。それだけに失敗は許されない。

 再建計画を策定する企業再生支援機構は、今月中に支援を決定するという。国民の「空の足」を守るという視点で、しっかりとした再生への道筋を立ててもらいたい。

 日航再建をめぐっては、私的整理か法的整理かで綱引きがあった。

 主力銀行側は「法的整理となれば倒産のイメージが強く、顧客離れを招き再建にはマイナス」との考えなどから私的整理を求めてきた。

 しかし、日航再建では支援機構が約3千億円を出資するほか、融資枠を4500億円程度まで増やすことにしている。税金を使って支援を行うからには、再建過程の透明性は欠かせない。

 その点、政府が法的整理を選んだのは妥当な判断である。私的整理よりも透明性が高く、国民の理解も得られやすいだろう。

 ただし、理解を得るためには、再建計画の中身を国民に丁寧に説明しなければならない。

 日航の再建問題は、破綻(はたん)処理となる法的整理で決着する形になるが、支援機構は事前調整型の再建にしていく方針だ。

 運航に大きな支障が出ないよう資金繰りを支えるほか、燃料や部品購入など一般商取引の債権は保護し全額支払う。利用者のマイレージも守り、顧客離れを防ぐ。日航株の上場維持も目指すという。

 再建問題への対応が迷走したこともあって、利用者の間では戸惑いも広がっている。法的整理へと踏み切ることで、それに拍車がかかるようでは元も子もない。

 前原誠司国土交通相は、日航再建に関して「日航を飛ばしながら再生する」と話している。その言葉通りにするためにも、政府や支援機構は混乱が起きないよう念には念を入れて準備を進めてもらいたい。

 重要なのは、法的整理を通じて日航の再建を確実なものにすることである。

 日航は、これまでにも経営不振に陥るたびに公的支援などを受けてきた。にもかかわらず、赤字体質から抜け出せていない。

 支援機構の資産査定によると、日航の債務超過は7500億円にも上るとみられている。なぜそうなってしまったのか、経営のどこに問題があるのか。深くメスを入れて徹底的に洗い出し、改善策を講じていく必要がある。

 日米両政府が航空自由化(オープンスカイ)協定の締結で合意するなど、航空業界では競争激化がさらに加速する。日本経済を支える航空網をしっかりと維持していくためにも、日航の抜本的な立て直しを急がなければならない。

徳島新聞社