1月20日(水曜日)
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社説
1月8日付  財務相交代  政権の立て直しを急げ  
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 鳩山政権の重鎮だった藤井裕久財務相が辞任し、後任に菅直人副総理兼国家戦略担当相が就任した。国家戦略担当相は仙谷由人行政刷新担当相が兼務することになった。

 辞任の理由は体調不良とされ、やむを得ないが、来年度予算編成の責任者が通常国会直前に交代するのは異例のことである。

 鳩山由紀夫首相は予算編成に直接関与した菅氏の起用で国会論戦を乗り切ろうという狙いだ。閣内の布陣を大きく変えることなく事態の早期収拾を図ったことは評価したい。

 ただ、霞が関を熟知し、内閣に安定感を与えてきた藤井氏の辞任が政権の動揺につながる恐れもぬぐいきれない。

 不況や米軍普天間飛行場移設、首相の偽装献金問題で内閣支持率は急落しており、鳩山政権にとってはまさに正念場である。

 政権基盤の立て直しに向けて、首相は一層リーダーシップを発揮し、閣内の意思統一を図ることが求められる。

 菅氏は、子ども手当や高校の授業料無償化、農業の戸別所得補償など民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)の予算化に当たって政府内調整の責任者を務めており、財務相への起用は、野党との国会論戦をにらめば無難な人選といえる。

 政権に強い影響力を持つ小沢一郎民主党幹事長と菅氏の関係が悪くないことも、首相の判断の背景にあったとみられる。

 官僚主導政治の打破を唱えてきた菅氏が、“官僚中の官僚”と言われる財務官僚をいかに使いこなすか、力量が問われる。

 菅氏は、財務省改革や、マニフェストに掲げた「国の総予算207兆円の全面的見直し」に意欲を示している。権限があいまいな国家戦略担当相から実質的な予算編成権を握る財務相に就くことで、特別会計を含めた予算改革が進む可能性もある。

 仙谷氏が兼務する国家戦略担当相は新政権の目玉ポストである。注目されるのは、昨年末に発表した経済成長戦略の工程表づくりだ。地方の活性化などにつながるよう、大いに手腕を発揮してもらいたい。

 これまで財務相と、新設の国家戦略担当相、行政刷新担当相との役割分担があいまいで、十分機能していないとの指摘もあった。閣僚交代を機に分担もはっきりさせるべきだ。

 藤井氏の辞任をめぐっては、健康上の理由は表向きで、小沢氏や菅氏との確執も背景にあるとされる。

 藤井氏は西松建設の巨額献金事件をめぐって小沢氏と距離ができ、昨年の衆院選前に政界引退を表明していた。だが、首相がこれを引き留め、新政権発足時にあえて財務相に起用した経緯がある。

 予算編成ではガソリン税の暫定税率廃止などマニフェストの実施と財政規律に腐心する藤井氏が、党や閣内ときしみが生じ、嫌気がさしたのが辞任の一因と言われている。

 藤井氏の降板で首相の威信が低下し、“小沢支配”の色彩が強まった印象はぬぐえない。内閣と党との連携関係を再確認する必要がある。

 世界経済は今年、プラス成長への転換が期待される。鳩山政権はこれに乗り遅れないよう財政、経済対策に全力で取り組んでほしい。

徳島新聞社