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社説
1月7日付  派遣法改正  労働者保護へ転換を  
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 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会が、仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」や製造業への派遣の原則禁止を柱とする報告書をまとめた。

 これを受けて、政府は今月召集される通常国会に労働者派遣法の改正案を提出する方針だ。

 派遣労働者は、働き方が多様化する中で年々増えているが、生活が不安定で、貧困や格差拡大の要因になっている。特に登録型や製造業派遣は問題が多く、2008年秋の金融危機以降、多くの人が「派遣切り」に遭って社会問題化した。

 規制緩和を繰り返してきた派遣制度を見直し、労働者保護へ政策を転換することは評価できる。

 政府は雇用の安定に向け、幅広く意見を聞きながら、実効性の高い改正案に仕上げてもらいたい。

 登録型派遣は、派遣会社に条件を登録し、仕事があるときだけ雇用される。派遣会社と長期の雇用契約を結び、仕事がないときでも給料がもらえる「常用型派遣」と違って収入は安定しない。

 そこで報告書は、秘書や通訳など専門性の高い26業種や高齢者派遣などを除いて禁止するとした。

 派遣法は1986年の施行当時、対象を通訳など13業種に限っていた。それが経済界などの要請で順次拡大され、99年には原則自由化された。小泉政権下の2004年には製造業派遣も可能となり、派遣の増加に拍車がかかった。

 雇用の形態は正規が原則である。行きすぎた規制緩和を正すのは当然だ。

 派遣の中でも、製造業派遣は雇用の調整弁に使われやすく、厚労省によると、派遣切りの97%が製造現場で発生しているという。

 このため、報告書は常用型派遣を除いて禁止するとした。

 しかし、常用型派遣にも問題がないわけではない。厚労省が「契約期間が1年以上見込まれる」と定義しているのに対し、労働問題の専門家らは「採用時に『見込み』があっても、いつでも派遣切りが許される」と定義のあいまいさを指摘する。

 民主、社民、国民新の3党が野党時代に国会に提出した改正案でも、製造業派遣の例外は専門的な業種に限り、常用型は認めていなかった。常用型が規制の抜け道にならないよう、歯止め策を講じなければならない。

 報告書はまた、改正法の公布後、登録型派遣の禁止には5年、製造業派遣の禁止には3年の猶予期間を設けるとした。混乱を避けるためだが、労働者保護の即効性を欠くとの批判もある。十分に議論する必要がある。

 報告書について、経営側からは「必要なときに必要な人材を確保できなくなり、かえって雇用が失われる」との懸念が出されている。

 しかし、収入が不安定な労働者が増え続ければ、内需の低迷やデフレが一層進むことにもなる。

 派遣労働者は08年6月時点で202万人に上り、パートやアルバイトなども含めた非正規労働者は全雇用者の3人に1人に達している。

 政府には派遣制度の改善とともに、雇用の安定・拡大に全力を挙げてもらいたい。

徳島新聞社