物流ウィークリーヘッドライン
厳罰化などの流れを受け、かなり件数は減ったものの、依然として根絶に至ることのない飲酒運転。万一、事故を起こせば、会社の存続やドライバーの職業生命にかかわる大問題だ。
2010年度にも職業ドライバーに対する始業前の飲酒検知が義務化される見込みだが、ここでいま一度、お酒についての基礎知識を押さえておこう。アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)の今成知美代表に話を聞いた。
アルコールが与える影響は。
「トラックドライバーのような不規則な時間に勤務する職業の場合、『寝酒』として飲むケースが多く見られるが、アルコールには脳を麻痺させてしまう働きがあり、結果として睡眠(の質)を壊してしまう。体の自然なパターンが阻害されるため、眠っても体力が回復せず、仕事に集中できなくなり、ストレス耐性も弱くなるなど悪影響が出てくる。また、アルコールは依存性があり、眠れないと飲酒量が増え、最後には『飲まないと眠れない』という、アルコール依存症になってしまうケースも」
トラックドライバーには、かなりの依存症予備軍がいるのでは。
「本人も周りも気がつかないうちに依存症になってしまう。『朝方、いやな汗をかく』『量のコントロールが効かない』などは危険」
回避するには。
「アルコールを使わずに眠れる方法を考えること。ドライバーが眠れないのは、運転で神経は使うが体は使わないため。釣りやボウリングを始める、犬を飼うなど、体を意識的に動かすのは非常に効果的。あとは、ぬるめのお風呂に入って体を温めるのも良い」
晩酌で飲む際の「適量」とは。
「リスクが低い量は『1日1単位』まで。1単位とは、純アルコール20グラム以内のことを指し、ビール中瓶1本、日本酒1合、ウィスキーならダブル1杯、ワインはグラス2杯が目安。1単位飲酒すると分解に4時間かかる計算」
知らずに飲んでいる人も多いのでは。
「2単位飲めば8時間、3単位であれば12時間が必要。『寝たから大丈夫』というのは間違い。危険なのは、休日の前の日に大量に飲んでしまうこと。分解に必要とする時間は量に比例して増えていくため、休み当日は量を控えても、その翌日には抜け切っていない可能性も。『うっかり』飲酒運転になるケースが多く、最近は夜間よりも午前中の摘発数が増えているとも聞く」
飲酒検知が義務化される見込みだが。
「バス業界では、すでに厳しくチェックを行っているが、トラック業界でもドライバーの管理をしっかり行うチャンス。ただし、ドライバー自身が『適量』を把握しておかないと、運行に支障が出るかもしれない。まずは正しい知識を身につけさせること。飲酒運転の予防教育は、会社経営はもとより、ドライバーには運転技術と同じぐらい大切なもの」
なお、同協会では「飲酒運転防止インストラクター養成講座」を実施している。
◎関連リンク→ アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)
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