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社説
1月6日付  糖尿病医療観光  中国へ大いに売り込もう  
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 糖尿病死亡率全国ワースト1位の徳島県が、国内外の糖尿病患者らを対象にした医療観光に乗り出すことになった。

 その第1弾として、中国から患者や旅行業者ら20人を県内に招き、観光と最先端の糖尿病検査をセットで体験してもらうモデルツアーを3月に実施する。

 本県では、糖尿病の克服に向けて産官学一体でさまざまな取り組みをしている。阿波踊り体操や「ヘルシー阿波レシピ」を考案したほか、県民を対象にした疫学調査や治療法の研究も進めている。

 こうしたノウハウを糖尿病治療と観光振興に生かすのが狙いという。糖尿病死亡率の高さを逆手に取った、徳島ならではの医療観光になるよう期待したい。

 モデルツアーは3泊4日の日程で計画されている。

 渦の道や大塚国際美術館などの観光メニューでは、運動を兼ねてなるべく歩くように工夫し、起床後には阿波踊り体操も体験してもらう。

 糖尿病の検査を行う徳島大病院では、最新医療機器を使って10項目ほどの検査を実施する予定だ。旅の楽しみの一つである夕食は、県産食材をふんだんに使ったカロリー控えめの献立を提供するという。

 「健康」をキーワードにして徳島を満喫する。そんな医療観光にするには、モデルツアー参加者の声を十分に反映させなければならない。

 県では、より長い滞在型治療と組み合わせた本格的な医療観光を目指している。その実現に向けては、受け入れ側の体制整備も欠かせない。医療機関や宿泊・観光施設などの関係者は、中国語での対応にも努める必要がある。

 世界の糖尿病患者は2億5千万人に上り、20年後には中国を中心に3億8千万人に増えると予想されている。高い経済成長が続く中国では、旅行を楽しむ富裕層も増えているという。そこに焦点を当てれば医療観光のニーズも見いだせるだろう。

 県は、5~10月に中国で開かれる上海万博でツアー商品をPRする方針だ。中国の人たちはもちろん、世界各国から集まる人々に、徳島での医療観光を大いに売り込んでもらいたい。

 こうした医療観光の推進力となるのは、やはり医療サービスの中身だろう。徳島でしか受けられない糖尿病の検査や治療法があれば、他のツアーとの差別化が図れる。

 そこで期待されるのが、国の支援を受けて県が進めている糖尿病研究開発臨床拠点集積事業だ。徳島大や企業と連携したこの事業では、治療法や治療薬、検査・診断装置、在宅治療に使えるICT(情報通信技術)などの開発に取り組んでいる。

 新たな治療法や薬が生まれるには時間がかかるだろうが、産官学がそれぞれの強みを発揮し、できるだけ早期の実用化を目指してほしい。

 成長著しい中国市場は大きな魅力だ。徳島県も、上海市内にビジネス支援拠点を構えたり、四国の他の3県とともにアンテナショップを開設したりしている。

 医療観光で中国とのつながりをさらに深めれば、新たなビジネスチャンスが生まれるだろう。大きな視点で取り組んでもらいたい。

徳島新聞社