第91回全国高校野球選手権大会は20日、37大会が行われた。神奈川では、桐蔭学園が昨秋の神宮大会日本一で今春センバツ出場の慶応を3−1で破った。慶応のプロ注目右腕・白村明弘投手(3年)は8回3失点ながら、打線の援護がなく涙をのんだ。東東京では、国士舘が2本塁打を放った主砲・原島巧捕手(3年)の活躍などで岩倉に9−2の七回コールド勝ちし16強入り。21日は南北海道、秋田、鹿児島で決勝が行われる。
突然、涙があふれ出した。試合後、球場脇で号泣するナインを笑顔で励ましていた慶応・白村が、緊張の糸が切れるように声をあげて泣いた。
「みんなの顔を見たら気持ちがあふれちゃって…。3年間、本当に面白かった。悔いはないです」
序盤、力んで制球に苦しんだ。「気持ちが入りすぎちゃって」。二回二死二塁から右前適時打を許して先制された。三回以降はリズムを取り戻し、自己最速タイの147キロもマークしたが、味方の援護は主将・植田忠尚内野手(3年)による四回の左越えソロのみ。「プロに入って甲子園で投げても意味がない」。球児の聖地に特別な思いを口にしていた右腕が、8回7安打3失点の完投で最後の夏を終えた。
神奈川県史上初となる4季連続出場の道は絶たれたが、スタンドでは大リーグのメッツ、ブレーブス、巨人、横浜など日米13球団のスカウトが熱視線を送った。進学かプロ入りか。「五分五分です」。揺れる17歳の野球人生は、まだまだ終わらない。