2009年12月28日

宮台真司の外国人参政権についての見解

外国人参政権を考える上で、在日韓国・朝鮮人とそれ以外を分ける必要があります。在日韓国・朝鮮人以外の永住外国人は、’90年の入国管理法改正(永住権のない外国人を柔軟に受け入れることを目的として「定住者」という新しい在留資格を創設するなどした。これで日系外国人の在留が激増)大量に入国した日系人が中心です。
■在日韓国・朝鮮人については国籍取得が容易なので、参政権を求めるのであれば国籍を変えていただきたい。帰化をすればエスニックアイデンティティに瑕がつくとの反論もありますが、国籍とエスニック・アイデンティティを分けて考えるのが国際標準なのです。
■ただし、国籍取得は政治参加の一手段ですが、国籍の意義は民族、国家、時代によって違い、一義的な議論は難しい。国籍は永住外国人の自己決定に委ねた上で、政治への関与の仕方を実情に即して問うべきです。
■例えば、参政権を与えることにで政治が左右されてしまうというのは、実情と無関係な単なる杞憂です。現在永住外国人の数は日本国民のわずか約1.7%に過ぎません。
■税負担の対価として参政権を付与すべきという意見もありますが、税負担は行政サービスやそれによって構築された、いわば「インフラ使用料」で、全く別の話です。いずれにせよ、これらは全て本質的な問題ではない。
■問題は、在日韓国・朝鮮人以外の永住外国人です。彼らは、参政権以外の権利は日本人とほぼ同等ですが、運用面で保障されていない。これは大問題です。
■例えば在日ブラジル人が生活保護を申請すると「いつまで日本にいるのか分からない」などの理由で窓口で却下される。なので貧困から小学校に行けない子もいて、日本語も喋れない。こうした人権侵害を放置して参政権を議論するのは本末転倒です。
■当の永住外国人の多くが参政権を欲しないのには理由があります。それは、日本人のコミュニティと永住外国人のコミュニティが混じり合っていないからです。
■現状では、永住外国人は日本社会から隔離されたコミュニティを作り、それぞれのエスニック・リソースを使って暮らします。日本社会で正当な権利を使えないから、仕方ないのです。だから社会参加を要求しないのです。
■現状の教育権の侵害がなくなれば、二世三世が日本人と交わるようになり、「アイツに権利があって自分にないのはおかしい」という感覚が必ず芽生えます。どの国でもそうなのです。
■外国人の権利が「現行法レベルでさえ」保障されれは、二世三世の段階で初めて参政権を考える素地ができます。拙速の参政権論議は、永住外国人らに対する人権侵害を覆い隠すための目くらましではないでしょうか。


(宮台)
永住外国人がこれだけ多いにも拘らず、ほとんど交流も無く、参政権は横に置くとして、社会に参加していないし、我々は彼らを包摂もしていないし、彼らも我々を、我々も彼らを知らないという状況。

これは難しい問題で、どこの国でも外国人労働者問題というのは民主的な決定に委ねると、必ず排除的な方向に民意がシフトしてしまう。だから、民意に任せる前に実績を作って受け入れさせるしかないと言われている問題なんです。この辺が民主党の弱点かなと思うんですが、いかがでしょう?

(大塚)
これは民主党の弱点というより、日本国民の弱点だと思います。

例えば、社会保障の問題、少子高齢化の問題とか色々考えたら、外国の方に入ってもらうしかないじゃないかという意見がある一方で、参政権の問題になると反対の意見が強くなったり、その辺をバランスよく判断することにまだ慣れてない国民性があるんだなというところです。

(宮台)
仰る通りで、ヨーロッパは戦後復興も経済成長も外国人労働者の手によってなされたわけです。

(大塚)
フランスの人口が増えているのは、子ども手当てのおかげもあるんだけど、移民が入ってきているわけですよね。アメリカも、あれだけ財政赤字を抱えていても、日本より成長率が高くなっている理由の一つは、移民がどんどん入ってきているという状況があるからです。それから、中国は漢民族中心ですが、多民族国家で人口が増え続けている。だから、この辺は感性の問題ですね。

(宮台)
ただ、イギリスやフランスの例が大変参考になって、一世の方々は母国に比べると日本の経済水準のほうが圧倒的によいので、日本から見た場合に、比較的悪い条件でも我慢して労働するわけですけども、子どもが生まれて2世、3世になると、日本で生まれて、日本語も喋れるし、学校も行っているのに、何で就業の差別をされるのか?と大紛糾をしていくという、それが日本では寸前まで来ていると思うんです。だから、結構危ない部分だなと思います。

(神保)
移民とか、外国人労働者の枠というところまではマニフェストまでは踏み込まなかったのはなんでですか?

(大塚)
そこは、まだ議論が必要だという位置付けになっています。




外国人参政権の今国会提出は節足 宮台真司氏のコメント
2009-11-07 14:25:14 | 政治TBSラジオ「デイキャッチ」ニュースランキングより、宮台真司さんのコメントを掲載。



反対の意見が多いのは当然で、こういう問題はどこの国でも民主的な決定に測れば、必ず排除的な感情が噴き出してしまいます。
僕らの業界では、この問題をどう扱うのかというと、実績を作っちゃって、「もう、しょうがないよね」として受け入れる以外に新しい枠組みを作りようが無いと言われてるんです。あと、人口的に外国人に参政権を与えたとしても、それで大きく票が動くとかいうことは全くないんで、そういう心配は杞憂ですということを前提として考えなければいけません。


僕は時期尚早だと思っていて、まず、在日韓国・朝鮮人の方について言うと、彼らが皆、あるいは大規模に参政権を求めているわけではないんです。彼らの中でも、有力な議論としてあるのが、参政権が欲しかったら国籍を取ればいいじゃないかと、何で国籍を取らずに参政権を要求するの?というもので、これは正論です。


もう一つ、90年の法改正で、特にブラジル日系人の方々が永住外国人の資格を取っているんですね。ところが、にも拘らず、永住外国人は参政権以外の権利を持っていて、生活保護を受けられたりするんですが、実際には窓口で「あんたらは、いつまでいるかわからないから」といったような理由で支給されなかったり、小学校にも行けないような子ども達が一杯いたりするという事実がある。

この状態で必要なのは、参政権じゃないんです。まず、永住外国人にちゃんとした権利を満たしてあげる事なんです。そういうことをやらないで、なんでいきなり参政権に飛ぶのかなぁというところがある。




posted by Moral Minority at 10:59| 京都 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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