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「名ばかりの民営化」 もたれあいの構図に限界

日本航空の国際線乗り継ぎカウンター
日本航空の国際線乗り継ぎカウンター
Photo By 共同

 日本航空が経営破綻した直接の原因は、半官半民意識から抜け出せず国に頼りがちな経営体質の甘さにあるが、航空行政の責任も重い。採算の取れない地方空港への就航を強いる一方、空港建設の費用を高額な着陸料などの形で負担させてきたことが日航を苦しめたのは明らかだ。戦後、長く続いた政・官・業のもたれ合いの構図が限界にきたといえる。

 日航は1987年に完全民営化したものの「名ばかりの民営化」とやゆされてきた。旧運輸省や国土交通省からの天下りは続き、政治とのしがらみなどさまざまな圧力に振り回されてきた。半面、路線開設などで全日本空輸よりも優遇されるなど甘い汁もあったとされる。

 2002年の日本エアシステム(JAS)との統合を機に、リストラに取り組むべきだったにもかかわらず、歴代経営陣は問題の先送りを続け、内紛なども加わり、対応が後手に回った。

 国の航空行政の見直しも遅れた。甘い需要予測に基づき、国内の空港は98に膨れ上がる。航空会社から徴収する着陸料や航空機燃料税などを原資にした社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定(旧空港整備特別会計)があるためだ。定期便の廃止が相次ぎ存亡の機を迎えている地方空港も多い。

 日航再建をめぐり自民党政治からの転換を意識した鳩山政権は透明度の高い会社更生法の活用を選択した。京セラの稲盛和夫名誉会長に委ねた日航再建には、法的整理による企業イメージの悪化や複雑な労使関係など課題が山積している。

 企業再生支援機構は3年で日航を再生させる計画。業績が回復し日航株を引き受けてもらえるように生まれ変われるのか。鳩山政権の判断が審判を受けることになる。

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