「陸山会」の土地購入を巡る事件で、04年に石川知裕容疑者に5000万円を渡したとされる中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)元幹部が「提供資金は後で元請けから補てんされた」と東京地検特捜部に説明していることが分かった。国発注の胆沢(いさわ)ダム(岩手県奥州市)を受注した元請けの大手ゼネコンが、工事費に同額分を上乗せし下請けの水谷建設に支払ったという。
元幹部が「資金提供分の補てんが約束されていた」と説明していることは既に判明していたが、新たな証言により巧妙な穴埋めシステムが存在していた疑惑が浮かんだ。
関係者によると、水谷建設元幹部は03年ごろ、東北地方の談合の仕切り役とされた鹿島東北支店幹部(当時)から「小沢事務所にあいさつに行ったほうがいい」とアドバイスされ、大久保隆規容疑者と面会。その後、大久保秘書の要請に基づき、04年10月に東京都内のホテルで石川議員に5000万円を渡したと特捜部に説明したとされる。
5000万円は、鹿島など3社の共同企業体が落札した胆沢ダム「堤体盛立工事」を水谷建設が下請け受注した謝礼とされ、元幹部は特捜部に「元請けの大手ゼネコンが後で補てんしてくれた」と説明。元請けは工事費を約5000万円水増しして水谷建設に下請け発注し、提供資金分を穴埋めするシステムだったという。
特捜部は、5000万円が土地購入代約3億5200万円の一部に充てられたとみて石川議員を追及しているが、石川議員は全面否定している。
毎日新聞 2010年1月17日 東京朝刊