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歌舞伎座:建て替え前、正月公演「車引」で大顔合わせ

 歌舞伎座(東京・銀座)正月公演の夜の部で「車引」が上演されている。中村芝翫の桜丸、中村富十郎の時平、松本幸四郎の松王丸、中村吉右衛門の梅王丸。今年、建て替えが始まる現・歌舞伎座の最後の正月を飾るにふさわしい大顔合わせだ。【小玉祥子】

 ◇芝翫の桜丸、富十郎の時平、幸四郎の松王、丸吉右衛門の梅王丸

 「菅原伝授手習鑑」の三段目の最初の場面。桜丸、梅王丸、松王丸は三つ子の兄弟だ。桜丸と梅王丸は、恩義ある菅原道真を陥れた藤原時平に一矢報いようと、彼の乗った牛車のもとへ駆けつける。だが、時平に仕える松王丸が立ちふさがった。

 優しい桜丸、荒事で勇壮な梅王丸、この場面では敵役の松王丸。性格も違い、顔の隈(くま)取りも異なる。3人の対比も見どころで、舞台面は錦絵のようだ。

 81歳にして初役をつとめる芝翫は「桜丸はこの後の『賀の祝』で切腹します。兄弟の中で最も色気があると同時に悲運でもある。花道を走って入る場面もあるので心配ですが、歌舞伎独特の古風な芝居を楽しんでいただけるようにつとめています」と語る。

 富十郎も初役。3兄弟が争う最中に、時平は牛車から登場する。「公家悪」と言われる、位の高い敵役だ。

 「大先輩の写真や書物を参考に、シャープな時平にしたいと思いました。梅王丸と桜丸が時平の気に押された、というようにできれば」

 幸四郎の松王丸初演は1958年。「半世紀、同じ役を演じています。こんなことはあまりない。梅王丸と桜丸は赤い襦袢(じゅばん)ですが、松王丸は白。3人をそろえるやり方もありますが、三つ子のうち松王丸だけが時平方という意味も出て、いいのではないでしょうか」

 吉右衛門は90年以来の梅王丸。3人がかりで締める太い帯に3本の太刀を差し、花道を飛び六法で入る。体力を必要とする役だ。

 「最高齢かと思ったら、祖父(七代目幸四郎)に次いで歴代2位でした。衣装も重いし、支度を手伝う周囲も大変です。梅王丸に必要な体の丸みを、背の高い私がどう出せるか。初演で(二代目尾上)松緑のおじさんに『重心をもっと下げて』と言われたことが思い出されます」

 26日まで。問い合わせは03・5565・6000へ。

毎日新聞 2010年1月7日 東京夕刊

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