2004年08月21日

“Twenty Foreplay”

ネットで出会って、恋愛まで発展するケースは今や普通らしい。

このブログにコメントを残していってくれる方々は、何故か9割方女性なので
「オレも実力を出せば意外にモテるじゃないか!」と錯覚してしまうんだが、
当たり前だが通常の生活では全然モテないんである。

身の回りにいる人間は「何だブログって」という輩ばかりなので、
ネット⇒恋愛は自分の回りでは過去一例しか無い。

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私はこれでも自分の部下の女社員には優しいと思っている。
いくら慣れてもタメ口は厳禁だが、セクハラは絶対にしないし、誘導尋問を
すれば「yamadaさんは優しいです」と返ってくるので、きっと優しいんである。

インターネットが世の中に出回り出した頃、寿退社のコと入れ替わりに
北海道の山奥から出てきて一人暮らしをしているコが入社して来た。
彼女はスケートの岡崎朋美に似て、かわいらしい顔をしているんだが
社交性がゼロというか、とにかくおとなし過ぎてどうにもならない。
前のコがオキャンで人気があったので「随分暗いコが入ってきてしまったな〜」
と内心ガッカリしたもんである。

当時、社内でネット接続出来る端末は限られていて、
私はその恩恵に与っていたもんだから、彼女にインターネットの面白さを教えていた。
で、メールや掲示板を目を輝かせて楽しそうに見ている。
そしたら驚いたことに彼女は入社6月の餅代を頭金に、
いきなり40万円のパソコンを買ってしまったんである(Accessを自腹で買ったのにも驚いた)。


その一年後の暑気払いの後。
一緒に帰るべえ、とタクシーに乗って30分くらい色々と話をする。
彼女はシェリー酒なんて飲んだもんだから、珍しく饒舌だった。

「○×サンまだインターネットやってんの?」
「ハイやってます」
「もしかしてエロサイトとか見てんのか」
「Yahooの掲示板にハマってて、先月電話代が3万円かかっちゃいました」

話を聞くと、カラオケの掲示板仲間で毎週オフ会に行ってるという。
カラオケ好きは知っていたが、このおとなしいコがオフ会に行ってる!
ということに驚いた。今までで一番楽しい、とまで言う。
私はオフ会なんてものに行くのは、牛乳瓶メガネのひょろひょろパソオタか
アニメ大好き脂汗デブ野郎しかいないと思ってたから、その話を聞いても
余り良い印象を受けなかった。


その一年後・・・

彼女はそれまでも休みが多くて、何回か注意していた。
私が遅刻した時に机を見ると今日も来ていない。いい加減にしろ!と思ってたら
上司に別室へ呼ばれた。私がいないから直接電話で話しをしたらしい。

なんと妊娠してしまった、というんである。
おぉ遂にパソオタかアニメデブにやられてしまったか!

とりあえず話しを聞かなくては、と彼女の自宅へメールを入れる。
返信に体調が悪いからしばらく休む & 来てもらうのなら来週にして欲しい &
本当にごめんなさい、とある。

二年も机を隣にして仕事をしていれば、やはり情はうつる。
パソオタorアニメをとっちめてやらなければ、という思いと、
そいつに生活能力が無ければオレが援助でもしないとアカンのかな、という思いが錯綜する。


翌週日曜日に彼女の部屋がある調布へ向かう。
一人でいると思ったら彼が来ていた。ここで私はまた勝手に驚くんだが、
パソコンでもアニメでもなく、体つきがいい好青年タイプなんである。

「この度は私たちのことで迷惑をかけてしまって本当に申し訳ありません」
いきなり腰が低いので、こっちも拍子が抜ける。

私「出来ちゃったものは仕方無いけど、ちゃんと責任は取るんだろうな」
彼「はい。来月には籍を入れようと思っています」
私「働いてんのか。学生じゃねえだろうな」
彼「社会人です。まだ3年目ですが」
私「ちなみに何の仕事してるんだよ」
彼「XXXX庁に勤めています」
私「・・・は」(ここで一気に汗が出る)
彼「と言っても今はXX省に出向してるんです」
私「あのぅ・・・お仕事は結構大変なんですか」
彼「毎日午前様です。週末は彼女がいるので必ず休むようにしています」
私「あのあの私で手伝えることなら何でも言って下さい」
 (この間、彼女は下を向いてずっと笑っている)


またまたまた驚いたが、彼はなんとスーパーエリートだったんである。
彼女の両親も、この出来ちゃった結婚に相当喜んだらしい。
この後、官舎に入る手続きとかで彼とは何回か話をしたが
「ですます」口調になっている自分が情けない。

真面目なコだったから多分シアワセに暮らしていると思うが、元気だろうか。

この頃、流行っていたのがジャネット・ジャクソンのベスト盤なんである。
(強引というか相当苦しい展開)
・・・と思って発売日調べたら全然違うわ!アレ〜おかしいなー
ここまで打ったし、ま いっか。

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ジャネット・ジャクソンは“Control”の大ヒットからずっと聴いている。
信じられないが、あれからもう20年近くも経っている。
今年始めにオッパイポロリ事件があったらしいが、そんなコトに興味は無い。
どのアルバムも金と時間をかけ、最高のスタッフを集めてるだけあって、グレードが高い。

アルバムは最新作を除き全部持っているんだが、このCDは♪Runaway が聴きたくて買った。
ラストに入っている♪Twenty Foreplay は実を言うと、ずっと聴いてなかった
(だから年代を間違えてるんだな)。
輸入盤しか買わないのでCDを見ればわかりそうなもんだが「24プレイ」と勝手に
思い込み、アメリカの四十八手みたいなエロソングだと思っていたんである(マジ)。


ジャネット・ジャクソンには名曲が多いが、この歌が一番好き。
曲途中の(ブリッジっていうのか?)
♪Wine and candles puts us in a sexy mood
から
♪That 's when we get to it Close our eyes Feel our our way through it
に切り替わるところがカッコいい。

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ネットの「出会い系」なるものに、長い間興味を持っている。
色んなブログを見ていると、ウマくいってるケースも多いようである。

ただアレには自己紹介が必要である。
私の場合、特技も取り得も自慢出来るものが何も無い。
入り口のところで何年も躊躇しているんである。

「もうすぐ40になっちゃうんで、誰か何とかして下さいヽ(`Д´)ノウワァァン!!」
とか書けば何とかなるもんだろうか。



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posted by Saxman at 00:00 | Comment(0) | MUSIC

2004年08月11日

「誰も知らない」

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昨日はほぼ定時に上がって、会社近くのチネチッタで見るべえと行ったら
上映まで1時間半あるのに満席SOLD OUT。
コンビニで立ち読みしても、コレあんましやってないんですよ。
帰ってメシ作るかそれともブリカマ食うか寿司屋行くか迷ったものの、
今日逃したら見ないような気がしたんで、1時間ちょっとかけて
東武練馬のワーナーマイカルシネマまで見に行ってきました。
ここも9時半からのレイトショーだってのに、1時間前着で殆ど席が残ってなかったですね。
今日の席も売り切れが多かったです。

予告編でやってた竹中直人が出る田舎の女子高生のジャズバンドの映画が
面白そうでした。題名なんだっけな?

この映画で今年のカンヌ映画祭主演男優賞を取った柳楽優弥(やぎらゆうや)
ってテレビで見たとき、タメ口で感じ悪いなーって思ってたんですよ。
私このあたりウルサイんで。
でも映画見たらまだ子供ですよ!いくつくらいなんだろう。12〜3?
タメ口もまぁしょうがないな、と思い直しました。

7月29日の朝日新聞朝刊で、作家の石田衣良がこの映画のことを書いています。
ワタシ文章力無いんで勝手に引用(マズいんだろうな〜)&ネタバレを
含みますので、以下more機能を使わせてもらいます。


「西巣鴨子ども四人置き去り事件」の概要はこうだ。
父親の違う四人の子どもを捨て、母親は新しい恋人の元に走る。戸籍もなく、
学校へもいけない四人は、忘れたころ母親から送られてくる現金書留を頼りに、
アパートでなんとか半年を生き延びる。しかし、一番生命力の弱い末妹を
悲劇が襲い、幼い共同生活は崩壊する。



お母さん役はタレントのYOUです。このしょうもないお母さんを好演しています。
四人の長男が柳楽優弥でタランティーノが言ってたように、目がとても印象的です
(特にミスタードーナツのシーン)。
他三人の子どもたちも自然でとってもうまい。
主な出演者はあと後半に出てくる女子高生だけで(えらいカワイイ)、
物語は四人の日々の生活を淡々と写していきます。


親からも社会からも忘れられたアパートの一室で、四人の子どもたちは、
知恵と勇気をしぼって生き抜いていく。
日々の生活だから厳しいことやつらいこともあるけれど、四人はちいさな
楽しみを見つけ、誰も恨まずに笑いながら暮らしていくのだ。
貧しい生活のきらめくような細部と子どもたちの成長に胸を打たれずに
いるのは、誰にとってもむずかしいことだろう。



ものすっごく暗い話なんですけどね。生活のキーマンとなる長男以外は
お母さんからベランダにも出ちゃいけない、って言われて律儀にそれを守っている。
外の世界を知らないんですよ。
それでも四人で楽しく暮らしているんです。
この映画も「クレイマー、クレイマー」みたいに食事のシーンが何回か出てきます。


結末はわかっているのに、ぼくはこの楽園がずっと続けばいいと思っていた。
後半の一時間は涙をこらえるので精いっぱい。家で観ていたら絶対大泣き
していたはずだ。
演出は抑制が利いた、センチメンタリズムとは対極の手法である。泣かせの
あざとさとは無縁で、それが逆に胸を揺さぶるのだ。



正直言って私はこの映画に「泣き」を期待して行ったのですが、
泣き続けることは無かったです。
石田衣良が書いているように、全然あざとくなくて淡々としてるんですよ。
音楽もゴンチチで、あの軽やかなギターが流れている。

でも心はがーんと打たれました。
隣に座ったカップルの男はずっと泣いてましたね。


映画が本来もっていた静かな驚異を再発見するために、この夏、四人に会いに
いってもらいたい。「誰も知らない」は、子どもでいることの幸せと悲しみを、
きっと切れるような鮮やかさで思いださせてくれるはずだ。



この映画は、よくある娯楽映画ではありません。
ストーリーも日常を描くだけで劇的なことは起こらないし(一回あるか)、
ラストもこれから一体どうなってしまうんだろう、といった感じで終わります。

それでも今のとこ今年のベスト1ですね。
良かったです。




posted by Saxman at 11:54 | Comment(0) | 映画