【萬物相】外国人が使いにくい韓国のウェブサイト

 ソウルに駐在する、ある国の大使は以前から、話題になっている米国映画『アバター』を見たいと思っているが、なかなか見ることができないという。映画館へ行って列に並ぶわけにはいかず、前売り券を購入しようにも、インターネットでしか受け付けていないため、結局あきらめてしまった。住民登録番号がない外国人は、たとえ外交官であっても、インターネットでチケットを買うことができない。韓国に滞在する115万人の外国人たちは、「IT(情報技術)大国」といわれる韓国のインターネット事情に不満を感じている。

 ある米国人の英語講師は、米アップル社の携帯電話端末「iPhone」をインターネットで購入しようとしたが、30分後にノートパソコンの電源を切り、竜山電子商店街へ向かった。製品の説明が韓国語でしか書かれていなかったが、それは大した問題ではなかった。インターネットで外国人登録番号を何度入力しても、「使用不可」という表示が出るばかりだったのだ。外国人登録番号は、韓国人の住民登録番号と同じように13けたで、1999年までに生まれた外国人男性の場合、生年月日の後に「5」で始まる個別番号が続く。だが、ウェブサイトの会員加入を申請するため、この番号を入力しても、「不正な住民登録番号」という表示が出るだけだ。これでは、「何のために登録番号を付与しているのか」という苦情が出るのも無理はない。

 米国のインターネット・ショッピングモールは、世界中の誰もが会員になることができる。また、ソウルにいながらにして、欧州の定期刊行物を購読することもできる。フランスの日刊紙「ル・モンド」電子版で有料の記事を読むためには、電子メールのアドレスとパスワードを入力して会員登録し、クレジットカードの番号を入力しさえすればよい。毎月6ユーロ(約780円)の購読料は自動で引き落とされ、領収証が電子メールで送られてくる。

 韓国インターネット振興院が2007年、外国人のインターネットに関する満足度について調査した結果、「住民登録番号・外国人登録番号がないため、会員登録ができなかった(37.3%)」「外国人登録番号があっても、本人確認ができないため、会員登録ができなかった(31.7%)」といった不満が最も多かった。2年前、外国人専用のオンライン・ショッピングモール「バイ・ザ・コリア」が開設されたものの、一部の生活用品や家電製品が販売されているだけだ。

 ウェブサイトがハングルをメインとして運営されていることも、外国人にとっては大きな悩みの種だ。韓国人の名前よりも長い外国人の名前は、入力するスペースが足りない。また、携帯電話を利用した無線インターネットでも、外国人は差別的な待遇を受けている。放送通信委員会が外国人を対象に調査を行った結果、「会員加入の手続きが面倒」という不満の声が31.4%に達した。ある中国人は、「携帯電話が使えるようになるまで3週間もかかった」と国家権益委員会に訴えた。韓国のインターネットで横行する閉鎖的な慣習は、外国人たちを韓国嫌いにさせるだけであり、一刻も早く改善する必要がある。

朴海鉉(パク・ヘヒョン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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