1月3日付 政局2010 参院選へ政策を競え
民主党は国民の支持をつなぎ止め、長期政権への展望を開くことができるのか。一方、野党になった自民党は党再生の足がかりをつかむことができるのか。 鍵を握るのは、今年最大の政治決戦となる夏の参院選である。 民主党で参院選の指揮を執る小沢一郎幹事長は1日の新年会で、単独過半数獲得に向けて所属国会議員にげきを飛ばした。 連立を組む社民、国民新両党と合わせて参院で過半数を維持している民主党にとって、単独過半数の獲得は政権の安定のために何としても実現させたい目標だろう。 これに対して、自民党は連立与党の過半数割れを目指している。与野党が衆参でそれぞれ多数を占める「ねじれ国会」を再現させ、鳩山政権を窮地に追い込むのが狙いだ。逆に自民党が議席を減らせば、党の存続そのものが危うくなる。 参院選は政治の動向を左右する極めて重要な戦いとなる。各党は国民受けを競うのではなく、政策をしっかりと打ち出し、分かりやすい形で選択肢を示さなければならない。 鳩山政権の喫緊の課題は、近く召集される通常国会で2009年度第2次補正予算案と10年度予算案を早期に成立させることである。年度内に成立できなければ、景気や雇用に与える影響が大きい。 民主党には、看板政策の子ども手当支給や農家の戸別所得補償制度を実施し、参院選を有利にしたいとの思惑もある。 自民党などの野党は、通常国会で首相の偽装献金問題と小沢幹事長の政治資金問題を追及する構えをみせている。いずれも政治の信頼にかかわる問題であり、厳しくただすのは当然だ。しかし、それで予算案の審議がおざなりにされるようでは困る。 もう一つの重要課題は、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題である。 首相は名護市辺野古に移す現行計画とは別の新たな移設先を検討し、5月までに結論を出すとしている。移設先選びは難航を極めそうだが、首相は全力で取り組まなければならない。 現行の計画通りとなれば、沖縄県民はもちろん、国民の納得は得られないだろう。 首相は昨年暮れに行った「成長戦略の基本方針」の発表で、「人間のための経済」が大事だと語った。民主党はマニフェスト(政権公約)に「コンクリートから人へ」といった理念も掲げている。 自民党も、今年の運動方針案の中で「市場経済の恩恵を最大限享受できる活力ある社会」の実現を訴えている。 しかし、どのような国を目指そうとしているのか、両党ともいまひとつ分かりにくい。 参院選に向けて、各党には国会の論戦や党首討論を通じて議論を深め、目指す国の将来ビジョンを明確に打ち出すよう求めたい。
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