カリブ海のハイチを直撃したマグニチュード(M)7・0の大地震は、死者が10万人を大幅に超えるとの見方もあり、被害は拡大しているとみられる。一刻も早い状況の把握とともに国際社会の強力な支援が必要だ。
ハイチはキューバの東に浮かぶイスパニョーラ島の西3分の1を占め、東はドミニカ共和国と接する人口約960万人の貧しい農業国だ。
19世紀初頭に中南米最初の独立国となったが、相次ぐクーデターや反政府暴動など政情不安が絶えず、2004年からは国連平和維持活動(PKO)部隊の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)が駐留し、治安確保や人権・人道支援活動を行っている。
人口約200万人の首都ポルトープランス付近を震源とする今回の地震で、首都は医療施設の大半が倒壊し、水道、電気などライフラインは壊滅。MINUSTAH本部ビルも全壊し、部隊兵士や要員にも死者、行方不明者が多数あり、PKO史上、最悪の被害になる可能性があるという。
救助と支援に向けて国際社会は迅速に動いている。国連緊急援助調整官室によると、中国救援チームがいち早く現地入りしたほか、米国や旧宗主国のフランスなどの救助隊が現地に向かった。世界銀行や国連児童基金(ユニセフ)も財政支援や支援物資の提供活動に入った。
日本政府は500万ドルを上限とした緊急無償資金協力や支援物資供与、調査チーム派遣などを行うと発表した。岡山市に本部がある国際医療援助団体「AMDA」も、医師と職員を派遣した。
現地の状況やニーズに応じた効果的な支援活動が必要だ。一般市民レベルでも、それぞれができる支援を考えたい。