岡田克也外相とクリントン米国務長官の会談が、ハワイで行われた。懸案の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、予想通り両国の立場の違いが鮮明になった。
長官は、キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に移設する日米合意の早期履行を重ねて要求。外相は、5月までに日本政府として結論を出す方針を伝え、理解を求めた。
今年は日米安全保障条約改定から50年の節目であり、日米同盟の「深化」も重要なテーマだった。外務、防衛担当閣僚4人連名の共同声明発表、4閣僚による安全保障協議委員会の開催など協議のスタートで双方が合意した。だが、ほぼ事前に伝えられていた通りの合意事項であり、会談によって同盟が深化へ踏み出したとは言い難い。
普天間飛行場移設問題は1996年の返還・県内移設の合意から13年が経過し、昨年の政権交代で移設先を含めあらためて検討されることになった。現実には、この懸案をめぐって日米両国の溝は深まりつつあると言わざるを得ない。
鳩山由紀夫首相はかつて「常時駐留なき日米安保」を唱えていた。現在は「封印」を明言するものの、昨年末には「長期的発想」などと記者団に自説を解説する場面もあった。
オバマ政権は不信を増幅させているのであろう。今回のハワイでの会談開催は、日米合意履行の約束なしに首都ワシントンでの会談はできないとの米側の意思表示という見方もある。
日本外交については対米追随の弊害も言われてきた。だが、考え直すにしても首相自身が同盟の今後をどうすべきと考えているのか、はっきりさせることが出発点であろう。不信感がわだかまったままでは基軸である日米同盟の深化は望めない。