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[社説]核なき世界 具体策へ踏み出す1年に '10変革の時

 オバマ米大統領が昨年4月のプラハ演説で唱えた「核なき世界」は、実現へ向けて今年が大きな節目となろう。

 大統領の言葉は世界に希望を与えた。翌5月には核兵器の原料となる核物資の生産禁止を目指す兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の交渉開始で各国が合意し、9月には国連安全保障理事会が包括的核実験禁止条約(CTBT)の加盟と批准をすべての国に求める決議を採択した。大統領は年末、ノーベル平和賞を受けた。

 今年は、4月に核テロの防止に向けた核安全保障サミットが、5月には核拡散防止条約(NPT)の5年ぶりとなる再検討会議が、いずれも米国で開かれる。

 NPTはCTBTと並ぶ核軍縮推進の柱である。条約は米ロ英仏中に核保有を認める一方、保有国は核軍縮実行を約束することで成り立つが、北朝鮮やイランの核問題などで機能不全が言われる。NPT体制の強化が急がれる。

NPTへ弾みを 

 2000年の再検討会議では「核兵器廃絶への明確な約束」を盛り込んだ最終文書が採択された。だが、保有を認められない国々はNPTの不平等性に不満といら立ちを募らせ、前回05年の会議は決裂してしまった。

 昨年12月初めに失効した第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな核軍縮条約締結を目指し、米国とロシアの実務交渉が今月半ばにも再開される。

 米ロとも早い段階から後継条約に意欲を見せながら、START1失効が先行した。国益がぶつかる核軍縮交渉の難しさを見せつけた。

 ミサイルの飛行データなどを互いに提供し合う検証措置の在り方、核弾頭の運搬手段をどの程度削減するかなどが対立点となっている。後継条約を自国に有利な内容にしようと、水面下でせめぎ合いが続いているようだ。

 オバマ、メドベージェフ両大統領が指導力を発揮し、妥協点を見いだして後継条約合意を導いてもらいたい。今年の早い段階で後継条約締結にめどがつけば、NPT成功へ弾みとなるはずだ。

CTBT批准も急務 

 もう一つ、NPT再検討会議に向けての焦点が、核爆発を伴うあらゆる核実験を禁止するCTBTである。米国はCTBTを批准していない。1996年に署名はしたものの、自国の安全保障低下、小規模核実験の探知困難などを理由に99年、上院が批准を否決している。

 オバマ政権は再検討会議の前にCTBT批准を目指す考えとされる。しかし、批准に必要な3分の2の賛成を得るには野党・共和党の賛同を得なければならない。ここでも議会に対する説得工作など、オバマ大統領の政治的力量が問われることになる。

 核軍縮の推進については北朝鮮とイランの動向も大きな懸念材料である。北朝鮮は昨年4月、核問題をめぐる6カ国協議を離脱し、12月の米朝高官協議でも復帰へ明確な態度を示さなかった。イランも欧米の圧力には屈しないと強硬姿勢を保ったままだ。両国の軟化を促すため、米国をはじめ関係国は今年、一段と結束を固め、強い姿勢で交渉に臨む必要があろう。

日本の役割は重要 

 冷戦期に台頭した核廃絶への世界の関心は、冷戦終結で核の脅威が遠のくとともに薄れてしまった。オバマ演説で再び盛り上がったとはいえ、国際社会が今年、NPT成功など具体的成果を挙げられなければ再度しぼみかねない。最大の核保有国・米国を率いるオバマ大統領自身に挑戦的な取り組みが求められることは、言うまでもない。

 昨年末、核廃絶を世界がどれほど求めているか、米国民が気付くことの重要性を米シンクタンクが指摘した。

 日本の役割は大きい。岡田克也外相は年末、日本での核軍縮会議開催に意欲をみせ、高須幸雄国連大使は核に関する日本主導の新たな安保理決議を目指す考えを示した。

 唯一の被爆国・日本の積極姿勢は、米国だけでなく世界へのアピールとなろう。実現に取り組むべきだ。


【詳しくは山陽新聞紙面をご覧ください。】

(1/6 8:30)

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