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[社説]地球環境 一体感強め危機に挑もう  '10変革の時

 飼育員たちの視線が開け放たれたケージの入り口に注がれる。やがて1羽、また1羽。トキたちは熱い期待の中を大空へ舞い上がっていく。昨年9月の光景だ。

 新潟県佐渡市でトキの野生復帰が試みられている。今年は一昨年9月の初放鳥で実らなかった繁殖を目指す。長年の取り組みは、失われゆく種と生態系のかけがえのなさを私たちに突き付ける。

 地球上の生物は約40億年にわたり、さまざまな環境に適応して多様に進化し、互いにつながり合って生態系を構成している。人間もこの「生命の輪」に属し、多くの恩恵を受けてきた。

 その生物多様性が乱獲や乱開発などで急速に失われ、絶滅危惧(きぐ)種が増えている。1992年に各国による生物多様性条約が採択されたが、流れは止まらない。地球規模の「大絶滅時代」とも言われる現状へ危機意識を高めたい。

人類の責任

 今年は国連の「国際生物多様性年」。10月には名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)も開催され、大きな節目を迎える。

 COP10の焦点は保全と利用の新たな目標づくりや生物を利用して得られた利益の配分などだ。生物多様性の喪失にどう対応し、関心を高められるか。議長国である日本のかじ取りが問われる。

 失われる生物多様性と並んで地球環境を脅かすのが地球温暖化の問題だ。ともに原因の多くが人間の行動に起因し、表裏一体の面も持つ。例えば森林の伐採は温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の吸収力を低下させ、温暖化の進行は植生を変えて動物などに影響を及ぼす。

 人間が起こした問題の解決は、人間が責任を負わなければならない。しかし、前途は多難だ。昨年12月にコペンハーゲンで開催された気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は京都議定書後の2013年以降の枠組みを決められず先送りした。日本や米国、中国などがまとめた法的拘束力のない「コペンハーゲン合意」に「留意する」との決議を採択し、分裂を避けるのがやっとだった。

利害を超えて

 前例のない約120カ国の首脳級を集めたCOP15の難航は、あらためて立場の違いと危機感の薄さを示した。先進国に温室効果ガス排出削減の上積みを求める途上国、排出量が膨らむ中国などにも削減を義務付けたい先進国、それに被害に直面している島しょ国の思惑が交錯した。

 不調だったとはいえ、温暖化の被害が多発する中で立ち止まってはいられない。合意に米中が加わり決裂を避けたことに望みを託し、11月のCOP16に向けて対立の構図を解消し、実効ある枠組みへ新たな模索を求めたい。

 京都議定書で削減義務を負う国々の排出量は世界全体の約3割にとどまる。温暖化を止めるためには、義務を負っていない米国や中国など主要な排出国すべてが加わる新たな枠組みが必要だ。

 温暖化防止へ「共通だが差異ある責任」という基本原則の下、各国の利害を超えた取り組みが欠かせない。途上国が抱える課題や懸念への配慮など柔軟なアプローチも考えるべきだろう。

身近なことから

 地球規模の問題には世界が一体感を強めて挑んでいかなければならないのはもちろんだが、国際的な足並みがそろうのを待つことなく、できることから1つずつ取り組むひたむきな努力が大切だ。

 日本は、20年までに90年比25%削減する目標を掲げている。すべての主要国の参加が前提だが、国内には「目標が高すぎる」との声もある。具体的な道筋を示し、議論を進めておく必要があろう。

 一人一人の取り組みが大きな力となる。省エネ家電やエコドライブ、室内設定温度への配慮、植樹への参加など身近なことから低炭素社会を目指したい。

 今の地球は、過去から未来へつなぐために借りているにすぎない。むしばまれる地球環境を守るため、意識を新たに後世への責任を果たしていかなければならない。


【詳しくは山陽新聞紙面をご覧ください。】

(1/5 9:02)

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