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[社説]安保改定50年 「対等な関係」の構築へ '10変革の時

 今年は日米安全保障条約の改定から50年という大きな節目を迎えた。日米安保が戦後の外交・防衛政策の礎として、日本の平和、さらには飛躍的な経済発展をもたらしたことは間違いないだろう。

 一方で、対米依存に傾斜するあまり日本独自の外交の顔は見えにくく、沖縄に集中する米軍基地が、沖縄県民に大きな負担を強いてきたことも忘れてはならない。安保改定50年の年を、米国との緊密な同盟関係をけん引してきた自民党政権でなく、「対等な日米関係」を掲げる民主党政権で迎えたというのも時代の変わり目を象徴している。

 その日米関係に早くも亀裂が生じている。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の決着先送りが原因だが、50周年を機に予定されていた日米安保再定義の協議も米側に拒否された。せっかくの機会が生かせないというのは残念なことだ。

役割増す自衛隊

 東西冷戦構造の中で生まれた日米安保条約には、米国の対日防衛義務は明記されているが、日本の対米防衛義務はない。自衛隊の役割拡大による「対等化」への試行錯誤は、1991年の湾岸戦争で人的貢献が不十分と批判されたことを契機に始まった。

 冷戦終結や北朝鮮の核開発を受け、96年の日米安保共同宣言では日本防衛から「アジア太平洋地域の平和と安定」に条約の枠を拡大した。99年には周辺事態法で自衛隊が米軍を後方支援する枠組みを創設した。

 さらに、2001年の米中枢同時テロを受けて、日本はインド洋へ海上自衛隊を派遣し、イラク戦争後には陸上自衛隊をイラクへ投入した。03年には米主導のミサイル防衛システム導入を決定している。米国との軍事面での一体化は、加速度的に増してきたといえよう。

 このような自衛隊の海外派遣や同盟強化の流れについて、民主党は野党時代から「対米追従」と批判してきた。米国が共和党ブッシュ政権から民主党オバマ政権にチェンジしたことは新しい関係構築に好都合だったはずだ。

真の信頼関係を

 昨年11月の日米首脳会談で鳩山政権は日米同盟を「日本外交の基軸」とし、鳩山首相は「さらに深化、発展させ建設的、未来志向の新たな日米同盟をつくりたい」と提案、オバマ大統領も同意した。

 半面、鳩山政権は普天間移設のほかにも日米地位協定見直しや米軍駐留経費負担(思いやり予算)の再検討を進める構えだ。いずれも同盟の根幹にかかわる問題であり、これまでは米国に遠慮して日本からの要求をタブー視してきた懸案事項だ。

 確かに、政権が変わったからには、従来の「米国一辺倒」から踏み出すうえで、タブーに挑むことも必要だろう。

 安全保障に絡む日米間の四つの密約の解明も同様だ。外務省の有識者委員会が検証作業を進め、今月中にも調査結果を公表する予定だ。中でも核持ち込みを黙認する密約の存在は、非核三原則を国是として掲げる一方、米国による「核の傘」に頼る日本の安全保障政策を根底から問いただすことにつながろう。

 日米が真の信頼関係を築くためにも真相を明らかにしなければならない。

日米を基軸に

 アジア重視を掲げ、東アジア共同体構想に意欲を見せる鳩山政権の方向に間違いはないだろう。ただ、日本を取り巻くアジア地域の情勢は不安定要素を抱えたままだ。

 北朝鮮の核実験やミサイル発射、中国の軍事力拡大のほか、中国や台湾など6カ国・地域が領有を主張する南沙諸島問題がある。日本とロシアは北方領土問題が未決着で、対立の構図は残っている。

 日米同盟を基軸にしたうえで多様な多国間関係を追求することが重要だろう。問題は、普天間移設問題にもみられるように鳩山政権の「対等な関係」の中身がはっきりしないことだ。米国側に戸惑いを生んでいる。

 日本としての具体的な外交・安保戦略を示さなければ、「新たな同盟」は見いだせないだろう。


【詳しくは山陽新聞紙面をご覧ください。】

(1/4 9:04)

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