「PhotoRec」は、誤って削除してしまったファイルや、
なぜか見当たらなくなってしまったファイルを復元することのできる、
オープンソースのフリーソフトです。
ファイル復元ソフトは比較的種類も豊富ですが、
なかでも「PhotoRec」は高い復元能力を持っています。
とあるソフトでは復元できなかったものが、「PhotoRec」であっさり復元できたこともあります。
ちなみに、データの復元作業は元に戻れない、一発勝負になることが多いです。
特にハードディスクが末期的な場合は、
復元作業が与える負荷によって、ハードディスクにとどめを刺すこともあります。
消えたデータが100%元に戻るという保証は、どこにもありません。
誤った操作をすればするほど、データの復元可能性はゼロに近づいていきます。
業務上のデータ等、消失によるリスクが極めて高い場合は、あえて何も操作せず、
データ復旧業者に依頼すべきです。
データ復旧業者では、ソフトウェアによるものだけでなく、
ハードウェアが機械的、電気的に故障している場合でも、データの復元に対応してくれます。
以上のことより、「PhotoRec」を使うのは、データがさほど重要ではなく、
“復元できたらラッキー” と割り切れる場合に限ります。
また当然ですが、「PhotoRec」を使ったデータ復元作業は、すべて自己責任です。
そのことを念頭に置いたうえで、作業を行ってください。
「PhotoRec」の起動
「PhotoRec」の入手先は以下のとおりです。
「TestDisk」に同梱して配布されています。
ダウンロードした「TestDisk」のファイルはzipで圧縮されているので、
各種解凍ソフトを使って解凍してください。
ただし、復元したいファイルのあるパーティションに「PhotoRec」を保存、解凍しないでください。
「PhotoRec」はファイルを復元するというソフトの特性上、
使用するにあたって注意したほうがいい点がいくつかあります。
それらは “使い方” とはちょっと外れるので、下記ページにまとめました。
「testdisk-○○」(○○はバージョン番号)というフォルダができ、その中にファイルが展開されます。
Windows版であれば、
「win」フォルダの中に「photorec_win」という「PhotoRec」の実行ファイルがあるはずです。
以下、Windows版の「PhotoRec」を例に挙げて使い方を説明していきます。
その他のプラットフォームでも、基本的な使い方は同じです。
「photorec_win」を実行します。
「PhotoRec」によるファイルの復元
「PhotoRec」はTUIのソフトです。
英語表記ですし、マウスは使えません。
でも実際触ってみるとわかりますが、「PhotoRec」の操作自体は簡単なように作られています。
ただし、「PhotoRec」は使い方にかなりクセのあるソフトです。
操作が難しいわけじゃなくて、コツみたいなものがいるのです。
高い復元率を誇るフリーソフトなので、見た目で躊躇せず、ぜひ活用してください。
まずは「PhotoRec」による復元対象の記憶装置を選択します。
上下のカーソルキーで対象となる記憶装置を選びます。
「Proceed」を選択した状態で「Enter」キーを押して次へ進めます。
「Proceed」=「次へ」、「Quit」=「戻る」です。
これらの表記は「PhotoRec」使用中、以後何度も出てきますが、同様です。
ちなみに一番初めのここで「Quit」を選択すると、「PhotoRec」を終了します。
パーティションテーブル種別を選択します。
ここではWindowsPCなので、「Intel」を選択します。
「PhotoRec」のメインメニューです。
選択した記憶装置内のパーティションが、一覧表示されます。
各項目については以下のとおり。
Search | : | ファイルを探索して復元します。 |
Options | : | 「PhotoRec」自体の動作オプションです。 |
File Opt | : | 拡張子で復元対象のファイルを指定します。 |
Quit | : | 戻る。 |
「PhotoRec」はそのソフトの特性上、実際に作業を行う前に、
必ず復元動作に関する設定をすべきです。
「PhotoRec」に関しては、初期設定のままやる意味がわかりません。
最低でも、「File Opt」は指定すべきです。
「File Opt」を選択します。
「PhotoRec」による復元対象のファイルを、拡張子で指定します。
上下カーソルキーで拡張子を選び、
左右カーソルキーで復元対象の切り替えを行います。
「X」印のついている拡張子が、復元対象です。
左右カーソルキーを押すたびに、「X」印がついたり消えたりします。
初期設定では、ほぼすべての項目にチェックが入っているため、
欲しいファイルを効率的に復元することができません。
理想的には、拡張子は1つずつ選択して復元したほうがいいです。
設定し終わったら、「Enter」キーを押して退出します。
「PhotoRec」の初期設定では、かなり安全なファイルしか復元しないようになっているので、
復元したいファイルが見つからない場合は、オプション設定を見直してください。
詳細については、以下にまとめました。
復元作業を実行するには、
復元対象のパーティションを上下カーソルキーで選び、「Search」を選択します。
ちなみに一番上の「No partition」は、パーティション未割り当ての領域も含めて、
記憶装置内のすべての領域を、復元対象とします。
復元対象の領域の、ファイルシステムを指定します。
WindowsPCで操作する限りは、「FAT」か「NTFS」のはずなので、
「Other」を選択します。
Linuxも使っている方は、適宜選択してください。
ファイルを探索する範囲を選択します。
復元する状況に合わせて選択してください。
Free | : | 現在使用されていない領域からのみ探索します。 |
Whole | : | パーティション全体からファイルを抽出します。 ファイルの復元率は高くなりますが、時間がかかるのと、 破損したファイルもあわせて大量に復元される可能性が高いので、 事前に覚悟しておく必要があります。 |
削除してすぐのファイルであれば、「Free」を選択したほうがいいでしょう。
ここでも「Free」を選択してみました。
復元したファイルの保存場所を指定します。
間違っても、復元元と復元先を同一パーティションに設定しないようにしましょう。
復元可能なファイルまで、上書きされて消されてしまいます。
初期の保存場所は、「PhotoRec」の実行ファイルがあるフォルダになっていますが、
上下カーソルキーと「Enter」キーで保存場所を変更できます。
ちなみに「..」を選択すると、上の階層に移動します。
あらかじめ、復元先のフォルダを決めて作っておくと、後でわかりやすいです。
その際、日本語は文字化けするので、使わないようにしましょう。
「Y」キーを押すと、いよいよファイルの探索を開始します。
実行中の画面です。
復元されたファイル数とあわせて、経過時間、推定残り時間が表示されます。
復元が完了しました。
ここでは例として初期設定のまま、「Cドライブ」からファイルの復元をしてみたので、
膨大な数のファイルが復元されています。
実際にエクスプローラで復元先フォルダの中身を確認してみます。
指定したフォルダの中に、「recup_dir.○」※○は連番というフォルダが作られ、
ファイルが500個ずつにまとめて保存されています。
ファイル名は復元されないので、
ファイルサイズや拡張子を元に、必要なファイルを特定していきます。
以上が「PhotoRec」の使い方ですが、実際の使用にあたっては、
ちょっとコツがあるというか、注意したほうがいい点のあるソフトなので、
下記ページにそれらをまとめてみました。