社説
小沢氏側近逮捕/民主党は自浄能力を示せ
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体による土地購入問題は、元秘書の石川知裕衆院議員ら小沢氏の側近3人が政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕される事態に発展した。
東京地検特捜部によると、2004、05年の政治資金収支報告書に土地代金とされる4億円分を少なく記載した疑いがある。
きょう召集の通常国会は、鳩山由紀夫首相の偽装献金問題と併せて「政治とカネ」をめぐる与野党攻防の激化が避けられず、予算審議への影響も懸念される。
その危機感があるのかどうか。鳩山首相は幹事長の続投を容認しただけでなく、検察当局との全面対決を宣言した小沢氏に対し「戦ってください」などと伝え、擁護する姿勢を示した。
事件の全容が解明されない段階で身内に一方的に肩入れするような発言は、行政の長として軽率というしかない。捜査の進展次第では、首相の政治責任に直結し、政権そのものを揺るがしかねない。
一方、現職国会議員の逮捕という強行策に出た検察側にも、国民を納得させるだけの説明が求められる。
民主党内には参院選対策や政権運営が小沢氏の手腕なしに成り立たないという共通認識があるのだろう。逮捕から一夜明けた党大会でも、出席者から異論は出なかった。こうした光景に、巨大与党の自浄能力の欠如を感じた人も多いはずだ。
小沢氏は党大会で土地購入資金の原資について「積み立ててきた個人の資金」で不正はないと説明した。報告書への記載がなかった点については「計算や記載の間違いは修正・訂正で許されてきた」と述べ、あくまで単純ミスであることを強調した。
しかし、4億円もの資産はどうやって形成されたのか、ゼネコンの裏献金が充てられたとする疑惑にどう答えるのか、すべての疑問が氷解したわけではない。
小沢氏は当面、「表向きの仕事」を輿石東参院議員会長に任せるという。幹事長の実権は握ったまま、表舞台に出ず疑惑の追及をかわすための方便であってはならない。幹事長を続ける以上、小沢氏は公の場で疑問に答える責任がある。
政権が代わっても旧態依然の政治とカネの疑惑がつきまとい、説明責任どころか国会の参考人招致も拒否するようでは、政治全体への失望を招く。鳩山首相と民主党はその責任の重さを自覚し、国会での解明に率先して取り組むべきだ。
(2010/01/18 09:53)
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