社説
日米外相会談/関係修復の糸口にしたい
米軍普天間飛行場の移設問題で日米関係がきしむ中、岡田克也外相とクリントン米国務長官がきょう、ハワイで会談する。
日米安全保障条約改定50周年の節目に当たり、日米同盟をどう深化させるか。昨年11月の首脳合意に基づき、同盟の在り方を再検討する場と位置づけられている。
今後1年かけて話し合うテーマは、核の拡散や核軍縮、北朝鮮をはじめとするアジア太平洋地域情勢、対中国政策、地球温暖化など多岐に及ぶ。いずれも日米が連携して取り組むべき課題である。
とりわけ、日米同盟については、冷戦崩壊後の国際情勢の変化に伴い今後どうあるべきかが問われている。ともに「対話と協調」を掲げる政権が、新しい時代にふさわしい同盟像を探り、世界の平和を第一に考えた政府間協議になるよう期待したい。
とはいえ今、日米間に横たわる最大の課題は普天間飛行場移設問題だ。
先の首脳会談で鳩山由紀夫首相がオバマ大統領に「私を信じてほしい」と早期の決着を約束しながら、翌日に前言を翻す発言をし、亀裂がさらに深まったといわれる。
昨年末の気候変動をめぐる国際会議で、日本が打診した首脳会談開催を米側が拒否したのは、ぎくしゃくした今の日米関係を象徴するようでもあった。
今回、米側が日本の要請を受けて外相会談に応じたのは、日米関係の悪化に伴う対外的な影響の方がはるかに大きいと判断したためではないか。
会談で岡田外相は、普天間飛行場の移設先として日米が合意したキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)以外の場所を、政府、与党の沖縄基地問題検討委員会が検討し、5月までに結論を出すことになった経緯をクリントン国務長官に説明し、理解を求めるという。これに米側がどう応じるか。今も辺野古への移設が「唯一実現可能な計画」との姿勢を変えていないだけに、協議の難航が予想される。
しかし、移設問題が未決着のままでは同盟協議の核心のテーマにたどり着けない。アジア太平洋地域における米国の戦略も十分踏まえた上で、鳩山政権が考える同盟像について丁寧に説明する姿勢が大切だ。
移設問題で発言が揺れる鳩山首相の真意を、オバマ大統領も測りかねていると伝えられる。日米関係に揺らぎはないにしても、今までにない「きしみ」が生じているのは否めない。外相会談を、その溝を埋める関係修復の糸口にしてもらいたい。
(2010/01/13 10:04)
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